第255話襲撃は真後ろから
世の中には金・・・貨幣・・・何でも良い、物流を円滑に回すための物がある。これは一定数の数が存在し、流通を行う事で回るものである。
そう、数に限りがあるのだ。無論俺は貨幣を物に変えて回す事はしている。食料然り、鉱物なんかを買って、主にクズ銀だが。そんなこんなで俺が、目立って来ている。
商人としては嬉しい事なのだろうが、俺は基本一人で行商を行う。当然これも知れている、じゃあ何が起こるか。答えは簡単だ、俺の商売敵、あるいは盗賊に狙われる事になる。
俺はこんな単純な事すら思慮に入っていなかった。何時襲われても対応できる警戒はしていたがな。今までは襲われなかった。そりゃそうだろう、俺は転移符に依存した移動が多い。人気の無い所で待ち伏せしても無意味なのだから。
だが今回はそうは行かない。森への案内人をつけているからだ。必要ないが護衛までいる。ギルドでクリートに「たまにはお金を冒険者に落としていってください」と言われたから仕方なくだ。
それなりの報酬を出してやった。案内人はギルドからの指名依頼で出して貰ったし、これも付き合いである。
狩人の経験を持つ案内人に護衛の屈強な見た目の男が3人という全く以って華に欠ける面々だが、それは仕方ない。
そしてそれは唐突に起こった。背中を切りつけられたのだ、鈍い痛みはあれど俺のスキルと防刃の服のお陰で大したダメージは無い。これが両手剣の様な叩き潰す部類の剣ならまずかったが、相手の獲物がシミターの様な剣で助かった。
どうやら俺が雇った奴等は俺を殺したくてやって来た刺客の様だ。驚愕しながらも俺の退路を開こうと奮戦してくれる狩人。
いっそ狩人も敵ならやり易かったんだが、そうも行かない。自分の持つ剣と一般的な魔術を使い距離を取る。
狩人と共に走る逃げるためだ。幸いにも敵は剣が獲物で飛び道具は無い。
「途中の平原で迎え撃つ、いいな?」
狩人は黙って頷く。その道中で弓による攻撃を受けた、払いはしたが、狩人の方は、肩を掠めている。予想通り伏兵までいる様だ。
何とか平原に付くと、一人に目くらましの粉袋を投げつけ、もう一人を火の魔術で足止め、これには狩人も弓で援護してくれた。もう一人は切りつけてきたシミターモドキをいなし、がら空きになった所を投げ、関節の活動限界まで捻って、その上に全体重を乗せて移動不能にした。
更に使い捨てのナイフを空間庫から取り出し目潰しした男の足へ投げる。狩人もやりたい事を理解してくれたのかもう一人の太ももを矢で貫いた。
その後距離を取る為更に走った。先ほどの男の後方から俺たちに弓を仕掛けたであろう奴らが迫ってきている。
俺は振り返り空間庫からある物を取り出す。弓だ、ただしその見た目は異常である。弓の両端が極端に太いのだ寧ろ丸味を帯びているといっても良い。
これはギミックを隠す為のカバーの様な物で中には滑車と特殊な弦の張り方がしてある。所謂コンパウンドボウと言う物だ。
こいつの凄い所は引きやすい、持ちやすい、貫通力、飛距離だ。この弓は弦を持たない。弦に引っ掛けたハンドルを引く、すると力が入りやすく引きやすい、滑車もあって更に引きやすい。結果信じられない効率を生み出す。
例えば今迫ってくる奴がここからだと距離220と言った所だろうか、ここに演算をして矢を放つと、革鎧等紙の様に貫通してしまう。無論その下の肉体も例外ではない。
それを見た残りの敵は一目散に逃げ出そうとするが、もう遅い、全て計算できている。後は矢を放つだけ。
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