第245話対面

 今会談中な訳だが、結論から言おう、限りなく黒だ。ステータスが殆んど読み取れない。隠蔽系を持ってる証拠だ。



 それに言語理解のレベルが地味に高い。何故それでクロかと思うかって?そりゃ今まで見てきた地域全ての言語が同じだからだ。この世界に於いて異世界人以外の言語理解の必要性は低い。当然考古学などの古語なんかには使うだろうが、彼は軍人。必要があまり無い。



 さらに言うなら、俺を警戒しすぎだ。こちらも隠蔽はあるが何かしら読まれた可能性は十分にある。



「使者殿、この度は救援物資の搬送及び、伝令本当にありがとう」そう言って俺に頭を下げたのはハイド卿だ。彼は元々教国の敵。仕方なく従ったふりををし、虎視眈々と今回のような機会を狙っていた者だ。



「王からは、あくまで敵は神の名を語る賊。この国との敵対自体は考えておられません。神の神託もあったでしょうが、例えなくてもこの状況なら救援を送り、賊の討伐に乗り出したでしょう」



 敬語?多分出来てないだろうが、こう言うのは本当に疲れる。



「使者殿、いや、ダイス殿でしたな。私はルドガー。賊の裏切り者と言った所です。この度の支援感謝しかない。」



 そう前置きを言い「ダイス殿は何をされている方なのですかな?使者というより武人のソレを感じ取れます」



「多少は嗜みますよ。行商人ですから。自分の身は自分で守りませんと。今回は王・・・正しくはある大商家をきっかけにこのような大役を任されました。まあ、あれですな、ある程度の腕と一人旅になれた者で丁度王の目に叶ったただそれだけにございます」



「行商人の方でしたか。一流の方はお強い方が多い。無粋な事を聞いてすまない。どうしても気になってしまって」




「私のような若輩者、怪しまれて当然。この書状が無ければ完全にペテン師扱いを受けても仕方ないでしょう」



 大役を果たすには若すぎるからな。やはり俺の素性は気になるわな。こっちの方でも異界人はやらかしているようだ。



 この仕事早く終いにしたいものだ。



 それからは、事務的な話し合いだ。運営から残党の始末に到るまで。



 ひと段落着いたのは日が変わる頃だった。

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