第215.5話会議
選択肢は幾つでもあった。だが、俺はこの道を選ぶ事にした。
「そうだな。この国にとって悪くない話をしよう。ギルドをこちらに置かせて欲しい。必然的に教国を追い出した経緯は詳しく聞ける。大雑把になら俺にも話せるがな」
「ギルドか。ハジメ殿が立ち上げたギルドか?色々あるんだよギルドは」伯爵はそういう。
「そのギルドで間違いない。この前その子孫が出てきてたしな。甲冑を着てただけで中身はどうだか知らないがね」
「そのギルドとあれば我としても歓迎したい。設立の理念は知っているからな。一見ならず者共に見えてその実、犯罪件数は低下する。どうしようも無い者が犯罪者にならず国の治安に間接的に貢献するのだ。金は掛かるが全体を見れば、損失の減少。願っても無い事だ」
王は少し大げさに言う。そこまでの組織なのだろうか?
「それにリシャー商会に卸す酒をこの大陸で作れる可能性も出てくるし、伯爵領はギルドによっての魔物の討伐で軍の損耗の減少はねらえるかもな」一応二人にもメリットを提示しておこう。
「それは私の領地でも可能か?」そう声を上げたのは辺境伯だ。さぞ困っているのであろう。
「戦争に使うとなると無理だろうが。魔物の討伐に報奨金を出すとか冒険者にメリットを出すとか、そもそもその魔物の素材に価値があるとかなら、十分可能じゃないのか」
「いくら美味い話でもすぐすぐ決める事はまかり通らない。王である我が言ってもな。だが、それでも辺境伯及び伯爵領に置いての設置と限れば時間は掛からない。賽の字よその条件喜んで引き受けよう。そなたの情報次第では、追加報酬も約束しよう」
俺はどうやって追い出したかの話をして行く。当然俺らの関与は伏せてだ。
内容としては。長年かけて巨壁の国を疲弊させ進軍した所に教国の深刻な食糧不足が起きた事。その時周囲国は戦争で物資を取られすぎない様に関税を大幅に引き上げてた事。そして、一番にその被害を受ける教国の国民に食料を配った者がいて。その者が先導し暴動を起こして教国中枢を落とした事。
後は残党を教国の周辺国と協力、巨壁の軍とで挟撃。話した内容としてはこんな所だ。
追加報酬として。精霊や妖精の情報の提供を約束させた。風の精霊の下にいた妖精を探す為である。そんな事で良いのかと言われたがそれで良いのだ。話を詰めるので翌日また話し合う事になった。
ダイスがいなくなった部屋には男が5人。
「私達は場違いな気がしてきましたよ。なぁガル」それも当然だろう。あくまでこの二人は商人とその部下なのだから。
「その様な事は無い。そなた等は賽の字との縁を結んでくれた。これだけでもどれだけ有益な事か。それに意見も是非聞きたい。まずは伯爵、この話をどう感じた?」
「多分彼の言葉に嘘は無い。全てを語ってる訳でも無いだろうけどね。それに、少しばかり詳しすぎる。かの戦いの当事者と僕は見ているよ。そしてこれからの方針で一つ王に進言したい」
「改めて言わんでも良い。申せ」
「あの者との付き合い方ですが。利益で縛るのがよろしいかと。無論金でなびくかは怪しいですが、あくまで自然に、害は無いと思われなければいけません。下手な欲を出せば多分すぐに縁は途切れるでしょう。あれはそういう類の人間です」
「そうであろうな。異界人の話をした時の空気。あれが証明しておる。その件は気をつけよう。辺境伯。どう思った?」
「伯爵がいう事以外でしたら。まずはこちらからかの大陸に調査隊を派遣すべきかと。一度キッチリ見るべきです」
「分かったその任はそなたに任せよう。あるいは賽の字に頼んでみよう」
こうして男達の会議は続く。
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