第196話意外とあっさり終りました
「これ程とはね。ガルと一緒に護衛した時は手を抜いていたのかい?」随分と意地の悪い聞き方をする。
「まさか、長丁場になりそうだったのでペースを考えて行動しただけですよ。疲れて使い物にならないじゃいる意味がありませんし」
「ダイスのお陰で何とかなったんだ。変なケチはお止めくだせぇよ伯爵」
「少しばかり意地悪だったかな?手札がまだまだありそうだからついね。これは癖なんだ、悪いね。それよりだ、ダイス君、君は歌が上手いね。一度舞台に上がってみる気はないかね?」
おれが?それは無い。元の、そう。彼の歌を知っていれば俺のなど児戯にも劣る。舞台など勘弁して欲しい。
「これはあくまで武器の一つ。どうか御容赦を」
「それは残念。もうすぐ大きな舞台があるから丁度良いと思ったんだ。気が変わったらいつでも言ってくれたまえ」
やはりこいつは苦手だ。できる限り早くここは去ろう。
そうして目的地が見えて来た。今まで見る街。いいや、都市の中でも一番でかい。無論この世界ではだが。当然その後向かった彼の屋敷・・・最早城もでかい。国の王都と言われてもなんの違和感も無い程だ。
「僕は残りの雑務を終らせねばならない。君たちはゆっくり休んでくれたまえ」屋敷に着くと彼はすぐにどこかへ言ってしまう。
それを見ていたガルは。
「飄々した方だが、やる事はやり民からの信頼も厚いお方だ。だからこそ旦那も懇意にしてる訳だがな」
「残念ながら私は少し苦手ですね。付き合えば付き合うほどに、面倒事に巻き込まれそうな気がしてなりません」
「違いねぇ。しかし、もう遅いんじゃねぇか?確実にダイスさんは気に入られたと思うぞ。厄介事は確かにあるだろうが、それを上回る利益で返してくれるのがあの伯爵だと俺は思うね」
そういう考えもあるだろうが、俺は別である。機密が多いからな、今回の件が終ったら。すぐに姿を消した方が良いかもな。
翌朝。伯爵がこちらに来る事は無かった。なんでも急ぎの用事が出来たとか。俺は渋いオジサマ風執事に建物及び土地の権利書とナイフを貰い、ガルと供に屋敷を出た。
「これからどうするんだ?」
「物件の確認をして、この都市を見物ですかね」
「おし、俺も付き合うぜ。折角来たんだ遊ばないと損だ」
社外研修帰りの会社員みたいな事を・・・気持ちは分かるが。俺もやったから人の事言えないがな。その土地の名物めぐりとかしたものだ。大体はハズレなんだけどな。
この土地で探したいものもある丁度良いか。
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