第184話こう言う使い方も
ルイの様子が良くならない。見るに魔術的要因の様だが体がそれに追いついていない。そんな所だろうか?
逆効果の可能性もあるが一度試すのもありか。ダメならすぐに止めれば良い。
魔術的要因であるのなら、彼の魔術はそれを取り除くのに最適だ。異能そのもの、特殊という概念そのものが無い空間ならば関係ない。例えゲッシュであろうが、ギアスであろうがこの中では意味を成さない。
苦痛そうな表情は消えたが、様子を見るしかない。俺はいつもの様に鍛錬に勤しむとしよう。筋トレの延長のような物だが。外でやる訳にも行かない。
結局1日をその空間で過ごす事となった。
「ダイス、今はどういう状況なんだい?動けないんだけど」どうやら目を覚ましたらしい。
「動けない事以外で問題はあるか?」
「それが一番の問題じゃないかな?まぁ他にはだるい以外は無いよ」
とりあえず解除してみるか。
「今はどうだ?動けるだろう?具合に急変は?」
ルイは体を起こすと、背伸びをして「問題ないよ。問題がない事がある意味問題なんだけど、障壁抜けに使った魔術だよねそれ?魔術師に切り札の内容を聞くのはどうかと思うけど、よければ教えてくれないかい?」
元々ルイの恩恵の下に習得した物だ。構わないか。
「これはルイの息子の魔術だよ。本人曰く真の原初を再現した空間だそうな。魔術とか、科学とか、その他色々な概念が存在しない空間」
「それは動けない訳だ。生き物は認識してないだけで魔力を無意識に体の制御の補助に当てているからね。ダイスのように動くとなると、天賦の才を持って尚且つ特殊な環境で育つ必要があるだろうね。ダイスの場合はこの環境下でずっと修練して来たって所かな?」
「そんな所だ。何度心が折れかけた事か。こんな所で役に立つとは思えなかったがな」
「本当に助かったよ、正直五体満足で魔術的ペナルティー無しとか、まず無いからね」
やはり、欠片探しはリスクがでかいようだ。
「もう一つ頼みがあるんだけど、頼めるかな」
「事の次第と難易度による」
結果から言うと簡単な事だった。ルイの頼みは息子を見たい。無論本物は無理だ。だが、絵でなら可能である。人相は俺が知る所だからだ。問題があるとすれば俺に絵心が無いと言う所だろうか。
その問題も自動書記と言う魔術で案外簡単に解決した訳だが。これは存外に便利な魔術で、頭に強く思い浮かべた事をそのまま書いてくれると言う魔術だ。学生の時に欲しかったなこれ。
出来上がった絵を見てルイは「嫁にそっくりだ。娘じゃないの?」が感想だ。娘と言う部分は俺も同意したいが、残念そいつは男だ。てかルイも性別は分かりづらい。髪形で男の子に見えると言うだけで、髪を伸ばしてスカートでも穿こう物なら完全に女児である。
少し話して、ルイはこの恩はいつか返すよ。そう残して帰って行った。
明日こそは遠征に行こう。そう誓う俺であった。
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