第175話沙汰を決めろと言われても
「まずは謝らせて頂きたい。これはギルドの不祥事だ」
総長が俺に頭を下げた。少しばかり予想外だが、誠意と受け取ろう。
「今回の件での沙汰を君に決めて貰いたいのだが。具体的にはこの三流の始末になるね。見てくれは悪くない。君が望むのであれば奴隷にしても構わない。当然この場で殺してもこちらで後始末はしよう」
その言葉に目を見開き驚く親子。まぁ当然だろう。
「俺に友人の娘をどうこうする気はねぇよ。それに、ガイの情報提供にも報いてやりたい。無罪とは行かないが、なるべく軽く、ガウの手元に置ける処置で頼む。まぁ、これでもまだ向ってくるなら四肢の一つでも切り飛ばすから覚悟してくれ」
「温情感謝します」ガウは複雑な顔をしながらそう言った。きっと心情はパニック寸前だろうに、良く耐えるものだ。
「ガウェイン。今日の貴方はいても邪魔でしょう。その三流を連れて自宅で待機してなさい。そして教育をし直しなさい。次があれば三流である事すら出来なくなります」
元が消えてるな。除名は保留ってことかな?
「必ず」それだけ言い残しガウはリムを連れてその場を去った。
リムは俺を睨みながら、それでも状況が分かっているのだろう。おとなしく連れられて出て行った。
「おお、怖い怖い」
「ダイス君、君は甘いね。でも助かったよ、ガウェインを失う可能性を潰してくれたからね」
「俺は友人を失う可能性を潰しただけだ。自慢ではないが友人は少ないのでね」
肩をすくめながら言うと、総長はカラカラ笑い出した。
それから色々受け、状況を把握する。
「所で新しいレシピは無いのかい?酒に合うのが良いね」
酒・・・そういえば。ここで切り出すのも悪くは無いだろう。
「その酒ですが、新しい販売ルートは欲しくないですか?」
「十分すぎる程利益は出てるけど。多いに越した事はないよ」
「この前、別大陸で有力商人と渡りを付けました。1壷銀貨5枚です。それとレシピではありませんが、あのお酒は柑橘類等の果実と相性が良いので混ぜて飲むのも良いでしょうね」
「別大陸・・・君ならやれる訳か、利益の出方も君がやってくれれば尋常じゃない。これは次の議題にするしかないな。お願いする事になるけど利益の配分等の話は次までに詰めておくよ」
「それは上々」
「さて、私は大事な急用が出来た。申し訳ないが今日はこれで失礼させて貰うよ」
酒を試すんですね、分かり易すぎます。
「試した結果次第では私から報酬を出すから。良い組み合わせなんかも次回教えておくれ」
こうしてギルドでの話し合いは終った。
外に出ると、ガイが立っていた。俺にどうなったかを聞いたので、事の顛末を話すと。
「ありがとう、恩に着る」そういい残してどこかに行ってしまった。心配でいても立ってもいられなかったのだろう。
ようやく、店へいける。
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