第168話残党の襲撃
妖精達と墓守に食料を渡し、小さな我が城(小屋)に戻り休んでいた。最近では妖精達もこちらに来るようになってしまったが。基本的に静かで過ごしやすい。
小屋と言えど。その作りはこの世界では考えられない作りだ。まずガラスの窓。次に家具の作り。全てがオーパーツである。元の世界では普通にある、スプリング式ベッドや低反発マット。網戸等こちらで無ければその辺で買える物ばかりである。だが、それが俺にはありがたい。
最早ここでしか味わえない寝心地だ。数日は惰眠とダラダラと休むのも悪くない。そう思いながら眠りについた。
ダラダラと休むとは言っても。最低限の事はする。納品である。ポーションの材料をルイに届けてお終いではあるが。
こうして一日が終わり。眠りについた、明日も穏やかにと願い。されど、俺の願いは叶うことは無かった。
(商人様お助け下さい)
それは一方的な巨壁の王からの念話符だった。
教国の残党が襲ってきたそうだ。岩の巨人を率いて。幸い俺が詰めた門から攻めて来たので突破はされていないが、これからの流通の為に開けた門にこられれば突破されるだろうとの事。
巨壁の兵では有効打がない事。何でも魔術が効かないとか。岩で出来ているのなら弓は論外だろうしな。
(術者はいないのか?)
(いるようですが、巨人が守っておりどうにもできません)
(俺が行こう。どうせ報酬も受け取りに行かなければならなかったのだ。もう一仕事しても良いだろう)
安請け合いだって? 俺はこの仕事にある程度の確信があるのだ。相手がゴーレムのような無機質であるのであれば、最早敵ではないからな。
泉に転移符で飛び。城へと向う。夜であると言うのに、人が多い。仕方ないか。
あちらこちらから商人様だとか英雄様だとか。好き放題言われている。土地神様ってなんだよ、俺は人間だ。
当然のように城門前に付くと一人は走り、王の元へ、一人は俺を案内する為に付いてくる。来る度に扱いが仰々しくなるような気がするのは俺だけだろうか?
部屋に着くとさも当然のように王が頭をたれる。本当にやめて欲しい。
「王よ、貴殿は王である。そのように軽々しく、頭を下げるのは如何な物と思う」俺も少し偉そうなのは自覚してるが、王は偉そうではなくそういう立場で偉いのだ。相応の態度でお願いしたい。
「滅相もありません。商人様は最早この国の救世主。国民全てが感謝しております。そんな方に民を統べる者が頭も下げずにどうします。
目が本気だ。あれだ、なんか変な宗教にハマッた人みたいな雰囲気がある。
「感謝は理解したが、俺は別に人の上に立つ存在ではない。あくまで個だ。いや、この話はいずれしよう。現状を詳しく聞きたい。残りの掃除もしたいからね」
「それでは現状を、軍務卿、話しなさい」
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