第163話護衛依頼

「貴様は誰だ?」若い皮鎧を来た青年がいつでも攻撃できる態勢で話しかけてくる。



「私は旅の商人のダイスと申します。苦戦されてた様なので助太刀しましたが不要だったでしょうか?」




「おい、ガル。こいつは関係なさそうだ。明らかにこの辺の人間じゃねぇ」俺の後ろにいる若い女が前の青年にそう伝える。青年はガルという名なのだろう。



「確かに顔立ちも服装も珍しい。一味ではないらしいな。すまない。今日だけで3回襲われていてな」



 周囲の連中も疲労の色が垣間見える。



「お前等、武器を下ろせ。この人は大丈夫だ。なにより恩人だ。ダイスさん正直助かった。あの程度の賊は敵じゃないが。体力的にあのままでは押されていた」



「いえいえ。代わりと言ってはなんですが。町の位置を教えていただけませんか?迷ってしまって」



「おい、旦那」ガルは馬車に向ってそう呼びかける。



 中から30代半ばの男性が出てきた。この人が責任者だろう。



「話は聞いていた。私を呼ぶと言う事はそう言う事か?」



「今は必要だろう? そう言う訳でダイスさん。町まで護衛を頼まれちゃくれねぇか? 町に行けるし、給金も無論でる。お得だろ?」



「ありがたいです。微力ながら力を尽くしましょう」



 こいつ等への警戒と賊への対処か。面倒だが、道を知りたいので必要なリスクだろう。



 こうしてこの一行と行く事になったのだが。おかしい。いくらなんでも襲撃が多い。あれから2回だ。どれだけ運が悪いのだ? 運の値なんかも見れはするが皆10~15と差して変わりは無い。因みに俺は13。



 スキルやステータスも確認はしたが普通の冒険者の護衛っと言った感じでおかしな物は何も無かった。



 となると、偶然ではなく。狙われてる事になる。馬車の中の人物は身なりを見るに、貴族あるいは豪商。狙われる事は十分ある。



「ガルさん。もしかしてこの一団は何かから狙われていませんか?」



「ここまで頻繁に襲われるとそう思えても来るな。旦那は商人なんだが、かなりの成功者でな。同業者からの刺客なんてのは良くある事さ。今回のお忍びの湯治も何処かで情報も漏れたのだろうよ」



 ダメじゃん。



「それにしてもアンタ、腕が立つねぇ。素人みたいな構えで必中かと思わせる精度、ソロの行商人は違うね」



 女性は弓の腕を褒めてくれる。構えが素人ってのは当然だ。素人なのだから。補正で当ててるだけである。



「もうすぐ見えてくるぜ」



 森を抜けると、舗装された道。その先に大きな町がある。無事つけた様だ。



「見えてきただけで、まだ結構距離はあるがな。完全に日が落ちる前に森を抜けれて良かった。ここからなら月光だけで十分進める」



 それから体感で3時間程歩いて町に着いた。驚いたのがコンクリートの様な物が使われていることだ。向こうの大陸より進んでいるのかもしれない。




 それからガルが「もう宿は開いてないだろうから。俺の拠点を貸すぜ、給金の話は明日でいいか?」と言われたので素直に頷いた。



 俺も少し疲れた。寝ないにしても、休息が欲しい。


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