第157話事後処理1
この島での暮らしは非常に心地よい。しかし、人間仕事をするからこそ休みが心地よいのだ。ニートなんてのはある種の地獄だ。
あれから1日この妖精の集落で過ごしている。ここの妖精達は異様なほどに人懐っこい。今まで人間にされた仕打ちを考えれば、なんか違う気がするが、可愛いのでよしとしよう。
「投げてでつ、投げてでつぅ」妙に賢いコボルトがこのフリスビーモドキを投げるように催促している。数匹?で一番最初に誰が取れるか競ってるようだ。実に微笑ましい。
取って来た子の頭をワシワシと撫でてやると。嬉しいようで尻尾が千切れんばかりに振られている。もう気分はム○ゴロウさんだ。
コボルトや他の妖精達と遊んでやり、一段落して。一旦帰ると言い、集落をでた。巨壁の国へ向うためだ。楽しい、楽しい戦後処理の時間だ。(サボりたい)
正直投げ出したいが、アレだけの事をやっておいて放置は出来ない。少なくとも開門と状況確認だけはしなくてはならない。
俺は最近スマホ並みに多用し出した、念話符を起動し、王に連絡を取る。
(今から向おうと思うが、大丈夫だろうか?)
(商人様がいらっしゃるのであれば。何時如何なる時でも大歓迎です)
相変わらず腰が低い王だこと。
(近いうちにそちらに向います)
あちゃーなんか敬語とタメ語が混ざってしまう。妙にやりにくい。敬語が正解なのは分かるが、何故か出るのだ。
泉経由で城門前まで着く。門兵は既に顔パス状態で通してくれる。一応確認はした方が良いと思うのだが。俺は楽で良いが。
「ようこそ商人様。お待ちしておりました。」王よだから、謁見の間で待てよ。これでは家臣の様ではないか。
「事後処理の経過と、俺の手が必要な案件が開門以外にあるか確かめに来た。後その後の経過とか」
話はこうだ。まず侵略軍は撤退。捕虜と共に追撃軍を結成し、進軍中。既に一番近い国を制圧。王族の生き残りを救助。消耗が激しく、静養が必要との事。
食料や水は問題なくある。農地も出来た。最早この国に俺は必要ないはずだ。
「そうそう。教国の本国だが。クーデターで滅んでいるはずだ」
「お言葉ですが、商人様。あそこは本国ではありません。この大陸の拠点ではあるでしょうが、本国は海の向こうです」
向こうの大陸で、どの程度の力があるかは分からないが、まだこの戦争は続くのかもしれないな。
「開門の件だが、1箇所に留めた方が良いかもしれないな」
王も意味を理解したらしく。同意した。
「話しがそれたな、今、追っている残党及び補給部隊は挟み撃ちに合う事になるはずだ。早馬で伝令を出した方が良い。向こうの追撃軍は既に知っているはずだ。最悪でも俺が伝えよう」
「何から何まで本当に感謝します。この残党狩りが終わり次第。もう一度こちらにいらして欲しいのですが。よろしいでしょうか?」
「理由を聞こう」
「勿論報酬の話です。商人様の功績はそれこそ次元が違います。今回の戦勝の功はほぼ商人様にある。正直何で報いればいいか戦々恐々です」
「貰える物は貰うが、程ほどで。俺はそろそろ別の案件で移動を開始する。念話符での連絡を待っている」
「その時には必ず」
こうして王と別れた。さて、自領に戻りルイを待つかね。
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