第148話暗躍するは
あれから半月が過ぎた。物価は上がる一方ではあるが、周囲の国は何とか生活ができる水準で押しとどめている。そんな迷惑極まりない最中、ついに教国軍は動き出した。
(ルイ、動き出したぞ。俺は巨壁の国にこれを伝えて、備えさせる)
(良い塩梅だね。ダイス、奴等が来たらできる限り相手に被害を出し過ぎず、巨壁の前に張り付けに出来るかい?あそこの王には貸しがある。それを使うって言ってさ」
(流石に理由も無しじゃそれはきついぞ。まさかとは思うが、俺の渡した食料の使い道って)
(いいね、鋭いね。その通りだよ。そこまで気付いたのであれば、後はわかるだろう?)
噂の施しをしてる奴はルイだった。多分目的は・・・
(民の反応は?)
(完璧だよ、最早教国への信仰等無い、神への信仰はそのままだけどね。神話との矛盾や誰が儲けているか丁寧に話しながら、奴隷紋や首輪を消したよ。民には時が来るまで今まで通り過ごすように言ってある)
開戦して巨壁の国に正規軍が流れるのを待っての、クーデター。いや、それだけではないはずだ。今考えればおかしいのだ。何故教国が買占め紛いな事を始めたのに、この程度の値上がりで済んでいるか・・・
(ルイ。もしかして、買占めがある事を周辺の国全てにリークしたな?)
(勘の良い弟子は好きだよ。説明が楽だからね)
そして、多分だが。まだ何手か、止めの一手があるはずだ。
(まだなにかありますね?)
(想像にお任せするよ。と言っても大した事はしないけどね)
これが、前の世界では魔術が妄想の産物と消された理由か。魔術師と教徒が互いを牽制し合い、表の秩序を守る為に。ああ、確かに。そのルールが無い世界で本物の魔術師とはこれ程に恐ろしいとは。
(俺は巨壁に向かい、今回の経緯をこっちの裁量で伝える。問題はないな)
(君は賢い。任せるよ)
今までも忙しかったが。今回はその比ではないだろう。ゆっくりしたいものだ。
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