第147話変わる情勢
「と言う訳だ」俺は爺さんに、近いうちに戦争の可能性がある事を伝えた。
「分かった、その時がくれば、盟約に従って愚か者を灰燼に帰そう。それで、食料の件はどうなったのかの?」
「そっちは問題無い。少なくとも今はな。自給できるように師と俺が土地も弄った、呪いも解いた。そのうち俺らの手もいらなくなる」
「それは実に良い事じゃな。して、呪いとは?」
俺は巨壁の国のあちらこちらで、土地をダメにしていく呪いの事を話し、ついでにその土地をある程度回復?・・・結果だけ見ればかわらんか。とにかく、使える土地にした事を伝えた。
「お主の師とな? それは凄まじいのじゃろうな。可能であれば連れて来てくれぬか?礼を言いたい」
「分かった、何時になるかは分からないが。伝えておこう」
(って事があったんだ。どうする?)
念話符でルイにそのまま伝える。
(勝手に行くから、近いうちに行くと伝えていてくれ。こちらの特徴を伝えといてくれれば襲われる事もないだろう)
(それと、ダイスは今どのくらいの食料をもっている?)
(殆んど巨壁の国に卸したから残りは500キロもないぞ)
(問題ない。それは今すぐ買い取る事はできるか?)
(構わない、こんなもんどうするんだ?ルイも行商の真似事でも?)
(麦で面白い物を買おうと思ってね。すぐ取りに行く、多分足らなくなるから、仕入れて欲しい)
(分かったが、仕入れと言っても、あと1トンで限界だぞ?買い付け先を開拓はしてるが、そう上手くはいかないからな。肉とかも入れればもう少し増えるだろうが)
(そこは任せるよ。それじゃ、君の中継地点に出しといてね)
なにをするつもりだろうな。
(そうそう、教国軍が巨壁に接近したら教えて欲しい)
(了解)
来る事は確定なんだな。
あとから聞いた話だが、翌日には爺さんの所に出向いたらしい。礼になにかほしい物はないかと訪ねたら、俺と同じ変装に使ったアイテムを所望したそうだ。他には?と聞いたそうだが「もう十分です」と返したそうだ。
それから数日。俺は教国周辺の国で情報を集めているが、やはりというか、食料の値段が凄まじく上がっている。挙句に食料品が国を出るときの関税が凄まじい。無論この国にいる教徒が騒ぎ出したが、事前に王からの通達で各領主達に分かりやすい説明を民にせよ、と言う指示のお陰で、教徒は相手にされていない。
自分の国の食料がただでさえ、3割増しと洒落にならない事態で、関税を掛けなければ5倍ではすまないと言ったのだ。流石に5倍はどうかと思うが。餓死者が出るくらいには値上がりするだろう。
そして妙な噂を聞いた。なんでも教国内に平民以下の層、(奴隷等も含む)に食料を施している奇特な奴がいるらしい。なんでも神の使者だとかで。俺からすれば胡散臭い事極まりない。教国としてもこの男を捜しているようだが、上手く行ってないらしい。
それとやはり、遠征の準備が進んでいるようだ。この高い関税でも無理をして物資を買う事をする時点で良く分かる。周辺諸国全てでだ。
まだ出立こそしてないが、間近だろう。
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