第144話復興事業?

「この土地呪いが掛けられてますね」 王に話をつけ、顔合わせをすると、短刀直入にもほどがあるだろ言いたくなる。



「呪われている?」 そう言われては王も文官たちも穏やかではない。



「この土地がそこまで豊かな土壌じゃないのは元々でしょうが、酷くなったのはここ10年。そんな所では?」



 思い当たる節があるのだろう。王達の顔が引き攣る。




「なに、簡単な話しですよ。あの邪教徒達は、この国に潜り込み、土地枯らしと言う即効性は無いが確実に土地を蝕む魔術式を埋め込んで行ったようですね。



 周りを見渡しルイはこう言った「なんなら全て消し去る事も可能です」



「本当か?そうすればあの不毛の地は活力を得るのか?」



「まさか、これ以上奪われないだけですよ。しかし、商人殿がやったやり方であれば、かなり改善もしましょう」



 色々言いたいことも無くは無いが。ここは傍観するべきだろう。しかし、呪いか気が付かなかった。



「頼みます。この国に未来を」この王、本当に必死である。だからこそ助けたいなどと思ったわけだが。


「いいですよ。消し去りましょう。それにこの国が豊かになるように商人殿を手伝うのもやりましょう。ただし」



「なにをすれば?」



 周囲は息を呑むのが聞こえるくらい静まり返る。



「なに、簡単な事です。この国の問題が改善された時、あの邪教への報復を行って欲しい。邪教は早々に潰すべきだ」



 その後、細かい打ち合わせ等をしていた。俺は一先ず先に部屋を出て。次の泉跡、この国の中心部近い泉の貯水準備に取り掛かった。



 やる事、事態は非常に簡単で前回と同じだ。転移符を仕掛けているため移動時間も掛からない。



  滝に転移符と術式を放り込んでお終いだ。それを残り4箇所。当然水の貯まりも遅いが、これ以上は下流に影響が出かねない。調査なんぞにこられて、転移符を発見されても厄介だ。一応対策はしてあるが、その場合場所を変えなくてはならない。




 最後の谷に設置が終わる頃にルイが来た。


「手伝おう。」



「今しがた終わったよ」




「土はどうする?この土じゃ作物は育たないよ」



「土を他から持ってきて慣らしているが。中々に重労働で、時間的にも後回しだ」



「そうか。置換転移を教えてなかったね。とりあえず教えるからそれで行こう」



 さて、どんな魔術なのやら。

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