第133話待ち時間は暇なものです

 あの方が連れて来たお方はなんなのだ。僕は自室で頭を抱える。入り込んだ敵を排除してくれた、これから食料についても何かしらの恩恵を受けるだろう。



 ただ分かるのだ。あの者はこちらを信用していない。それだけは分かった。あくまでドラゴンという盟約の為に来ただけなのだ。



 王と言う立場なれば、それ相応の威圧感や特有の雰囲気の人物と相まみえる事になる。だが彼は別格だ。脅威に感じるとかそういう話では無い。あの見透かすような目だ。僕は恐ろしくてたまらない。あれは簡単に損切りする類だ。



 多分誠実に取引をするかもしれないが、我々の対応一つ間違えば多分そこまでだ。どうすれば良いかは分かっている。誠意ある対応するだけでいいはずだ。


 僕は声を上げ家臣たちを呼んだ。きちんと交渉を完遂する為に。



 その頃ダイスは・・・暇を持て余していた。侍女に面倒を掛けてまで外に行く気もなし、爺は寝てしまう。手持ち無沙汰なのだ。



 本当に暇だ。再開は夕刻からだ。まだまだ時間がある。外は鼠の件で大わらわだろうが俺には関係ない事だ。しかし、俺が王様と商談とはね。ここに来た当初は安全に村人Aを目指していたんだが、なにを間違えたのだか。



 すっかりチート塗れではないだろうか? かといって主人公と言った感じでは無い。こんな主人公を書く作者がいるとするなら、残念な奴だ。悪役として書くなら・・・幾分かマシな気もしないでもない。視点を変えれば気持ち良いくらいに悪党になるだろう。



 こんなくだらない事に思考を割くのだ。これは本格的に暇だ、いっそ寝るか? いや、それはよろしくないか。俺はそこまで図太く出来てない。小市民なのだ。



 本格的にやる事がなくなってきたぞ。ああ、ステの確認くらいはやるか。最近全く見てなかったし。



 ステ自体見たが・・・知識以外はほぼ変わりなし。スキルには幾分か変わりがあった。希望の破棄者が希望の滅却者になっていた。能力は人間の文言が人型に変わっていたくらいだ。



 後は精霊の気まぐれ・・・ダメージ軽減系だ5%と低いが、爺さんが感じたのはこれだろう。


 ここが防音であれば歌の練習でもするのだがな。歌がうまくなる魔術とか無いのだろうか。あの魔術は発動条件の歌が厳しすぎる。



 どう足掻いても今は暇に待つしかないようだ。 



 暇だ

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