第129話仕入れへ
「待て待て、急すぎる。1日くれ。何事も準備は必要だ」
「早いに越した事はないと思うんじゃがの、ダイスの考えじゃそれもありかもの」
それから俺はまたルイに念話符で連絡し、転移符の使用許可を取った。急いで仕入れをするのだ、移動する時間が惜しい。ルイは「許可なんて取らなくて良いよ。もうその魔術は君の魔術じゃないか」と・・・気前が良すぎはしないか?
まず転移して向った先は小麦問屋だ。この町は畜産も盛んで豊かだが、農産物も豊かだ。輸出で益を得るタイプの町である。
問屋の主はサム、知る限り、唯一まともな同世界人だ。彼は元々田舎で麦や玉蜀黍を作っていただけに知識もあり、商人としてもやり手だ。
最初は警戒したが、向こうも同じだったらしく。サムも苦労したのが伺える。今では妖精の食料を買う都合上、上客といった扱いだ。
問屋に入ると、すぐにサムの元に案内される。従業員は友達か何かだと思っているようだ。俺がここから麦を持って出て行く姿を見た事が無いせいだと思う。
「よう、ダイス。今回は早いな。新しい商売先でも見つけたか?」
そうなのだが、来るだけで当てられると怖い物がある。
「当たりだ。俺がどれだけ準備できるか、向こうさんの度肝を抜いて寄ろうと思ってな」
サムはそいつは良い。とカラカラ笑う。一通り笑うと、急に真剣な面持ちで「どれだけ欲しい? 量を買えばそれだけ安くなるぞ」
「そちらに支障が無い最大限で、今日中に受け取れるだけ全て」
サムは口笛を鳴らし「ダイスは最高の客だよ。倉庫に行こうか」
倉庫まで移動するとサムは「この中の全て足るか?」とニヤニヤしながら言い放った。買えるならどうぞってことか。悪戯好きな彼らしい。
しかし、今回はこのくらい必要なのだ「全部でいくらだ?」
「ダイス、正気か?ここの麦だけで4トン近くあるんだぞ?本当に買うのならいつもより3割安くしてやるよ」
「全て買おう」
「本当に最高の客だよダイスは。大金貨1枚で13袋だ」
この世界の金貨の価値から考えると1袋1.5万といった所か、こっちの値段で考えると破格とも言える安さだ。因みに1袋20Kgである。
結局買ったのは大金貨200枚分。足らない分は別の倉庫から受け取った。支払いは勿論即金だ。何処の世界であろうと即金は強いものだ。受け取った、サムは御満悦に金貨を数えている。
結局オマケとして5袋もらい275袋5.5トンの小麦を買い取った。他の町では絶対に出来ない芸当だ。
それから、加工肉等お手製の物も引っ張り出し、爺さんの元に向うとしよう。
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