第128話大量発注

 爺さんは少し悩みこう口にした。


「お主は何を扱う商人なのじゃ」


 思った方と違う言葉が飛んできたので少し安心した。扱う商品か。転移符、もしくは陣さえ設置すれば町の物は大抵は買える。



「人の町で手に入る物は大方取り扱えるが」



 爺いさんは頷きこう続けた「金もって来たものに上乗せして払う。とにかく大量の食料と人が生きるうえでの必需品を欲しい」



 ドラゴンが人間の必需品を? ああ、先ほどの念話符に繋がる訳だ。


「ここに持ってくるだけであれば可能ですよ」



 それから訳を話してくれた。ここでドラゴンを襲っていたのは教国の連中だと、そしてその理由はドラゴンと縁が深い、巨壁の国を疲弊させ、国を取る事なのだと。まぁあれだ、気の長い兵糧攻めのようなものだろう。



 そこで俺が物を売り、ドラゴンが運ぶか。問題は陣や札を使うまでする必要があるかどうかだ。やはり無しだ。空間庫を使い俺が飛べばかなりの量を運べる。幸い今俺がいける札の設置してる場所は4箇所、派手な仕入れをしなければならないが。これくらいはやろう。


「ところで教国とはどの神を信仰するんだ?」



「お主が壁に作ったではないか」


 ああ、自分の崇める神に詐欺師呼ばわりされてる奴等ね。大多数の宗教家なんてそんなものだろうが。


「さて、この仕事について、一つだけ条件がある」


「聞こう」



「俺が表に出ないこと。間接的とはいえ国を一つ敵に回すのだ。当然だろう?」



「しばし待つが良い」そう言って爺は奥へ行ってしまった。待つこと数分、爺は戻ってきて腕輪を俺に渡した。



「これは?」



「これは、若くまだ人化ができぬ者が使う道具じゃ。決まった姿にしかなれぬが、それはまだ使われていない奴じゃ。これから先使えばよかろう」


 これはありがたい。ガウのいる町では俺が買い物するの難しい。渡りに船とはこの事だ。それに変に目立つリスクが減るのはありがたい。



「早速じゃが巨壁の国の王にお主を紹介するとしようかの、我自ら乗せて行ってやろう」




 え?

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