第124話龍の住む山

 さて目的だが龍その物だ。龍の素材は全てが高い、当然だ。まず強すぎて討伐できない。極々一部の化物のような人間が稀に狩る事に成功する事があるくらいだ。



 俺が人外の強者か?否、断じて否だ。しかし、龍を狩る手立てはある。手立てはあるのだ。



 山に入って長い事上っているが、もう2時間くらいだろうか?訳があって空中は飛べない為時間が掛かる。それにしても出てこない。非常に縄張り意識が高い生き物と言う情報は何処に? ようやく8割方上ったであろうか急にそれは来た。



 視界を覆うような火球。足場の方向と魔力の方向を変え全力で流す事でなんとか回避する。さて射程は15mどう詰めようか。




 そんな考えをしてた時、答えは向こうからやってきた。突っ込んできたのだ。俺は逃げるように左右に動き、龍の、いやあれはドラゴンと言うべきか。追ってくる直線位置を避けると、俺は止まった。そしてあの魔術を起動する。




 何が起こるかって?簡単な事だ。鳥なんかの元々空を飛ぶ作りの動物ならいざ知らず、ドラゴンなんてものは羽が生えたトカゲだ。魔力が無い空間で飛ぶなんて不可能だ。




 ついでに言うと、ドラゴンが堅牢な生物であるのも魔力ゆえだ。この生物は魔力があるゆえ最強の一角に君臨できる。ではなければどうなるか? 答えは至極簡単。自重で動く事も出来ないひ弱な生物だ。多分鳥ですらこの中では落ちると思うがな。



 俺だって最初は歩くことすら困難だったのだから。



 魔術を解き、ドラゴンが落ちた先を見に行って見るとしよう。ミンチになってない事を祈るばかりだ。




 結論から言おう。半分はある程度無事だ。木々が刺さったり、あちこち、ベコベコだが。しかし、地面と触れていた部分は大変な事になっている。



 とりあえず空間庫に入れて先へ進もう。




 ドラゴンはあくまでオマケ、襲ってきたら、色々試せる上に、素材が手に入るからラッキー程度だ。目的はこの先にある国に行く事。




 やはりドラゴン、頭が悪い訳ではないようだ。距離を取って遠くからこちらを見ているだけのようだ。



 良い気がする訳でなし、さっさと越えてしまおう。そう思ったとき。




(人の子よ、何をしにこの地に来た?)




 テレパシー的なものだろうか?鑑定を試みたくても、距離がありすぎてわからない上に、どのドラゴンかわからない。




(強く思い念じよ、さすれば我に言葉が届く。もう一度問おう、何をしにこの地に来た?)



 強く念じれば良いのか?まぁいいか。



(この山を越えて向こうへ行く)




(真にそう思っているようだな、面白い。興味が湧いた。この山を通る許可をだそう、変わりにこの我の話相手を少ししろ。客人として迎えよう。なに、この山を許可ありで通れるのだ。安いものだろう?)




 確かに安い、最悪、起動状態で山を越えれば良い。しかし、非常に時間と労力がいる。罠の可能性も十分あるが。巨体のこいつらに限り、俺はどうにかできるだろう。



(その申し出受けよう)

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