第110話デジャブな光景と共に
目を覚ませば記憶のある状況だった。モフモフに囲まれていた。
「起きたか。急に倒れたから心配したのだわ」精霊の少女がこちらを覗き込む。
「あれからどうなった?」
「なにも。少しの間あの子達が怯えたけど。やはり貴方は好かれてるのね」少女は眠る小さな住人達を見渡す。
「これからも付き合うことになる。嫌われるよりは良い。それよりだ、なんとなく予想はつくが、何故ここに他の人間が?」
「大まかには貴方の想像通りよ。迷ってる人間を助けた。稀にある事なの」
「何故だ? 何故分かっていながら人間を通す。善悪問わずリスクがでかすぎるのは、分かっているだろう?」
「ええ、わかっているわ。あの子達はそれでも在り方は変わらない。この結界の大半は私の力による物だけど、あの子達の協力無しでは成立しない。出入りの権限はどうにもできないわ」
少女はわかっているのだろう。既にためしもしただろう。その結果どうにも出来なかった。それが現状。
「お前達は、この地以外では生きていけないのか? 安全な地に移ろうとは思わないのか?」
「無理ね、現実的じゃないわ。目的地が既に決定していたとして、たどり着けるのは3割いれば良いほうじゃないかしら、いくら貴方が優れた魔術師だからって、群れを守りながら移動なんて出来ないでしょう?」
「その問題さえクリアできれば別の土地でも良いわけだな?」
「そういう事になるわね。そんな事をして貴方になんのメリットがあるのかしら? 実は今のままでも約束通りにしていれば貴方の物よ」
「不安要素は少ないほうが良い。解決策に心当たりが無い訳でもない。ただし、時間もかかるし、成功するかも分からない。ただ、今より悪くなる事はない」
「期待しないで待っているわ」
「所で、招かれざる客の残骸は?」
「結界の外よ、今頃魔物の餌かしら?」
「まずい、どこら辺だ?」
俺は場所を大まかに聞くと飛び出した。が、そこには何もなかった。遅かったか、食い荒らされた形跡は無い。ここに捨てられたのは間違いなさそうだ。
「回収されたか」
まずい、この国は火縄銃のような物がある。相手がよほどの馬鹿ではない限り、こちらが同じような物を使ってる事に気付くはずだ。そして・・・自分達より遥かに性能が良い事にも気付く。よって、国が動くはずだ。
今回ばかりは、俺一人では無理そうだ。あまり借りは作りたくはないのだが。
「そうも言ってられんか」
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