第109話再び妖精達のもとへ
さてと、食料も買ったし。小さい商売仲間に対価を払いに行くとしよう。
転移符を繋いだお陰で、簡単に移動はできる。
移動した先は・・・逃げ惑う住人達、そしてそれを追う、人間。多分自分達で招いてしまったのだろう。
何故、俺は気付かなかった。己の迂闊さに吐き気がする。俺がどうやってここに来たか、そしてこの小さな住人達の性質。更には俺が来た時点でまだ外にいる住人がいる可能性。そして何より人間の醜さ。迂闊だ。あまりに酷い。
気付いたら俺は、敵と思わしき人間の頭を打ち抜いていた。秘匿性が高い武器?知らん。皆生きては返さないのだから。
こんな頭が茹だった状況でも、相手を封じる手を思いつく。彼の欠片から貰った魔術は一つではあるが正確には違う。その過程で出来た魔術も含む。
自分の魔術とは秘匿性の塊だ。彼はどうしたか? 歌った。声量に、音程に、リズムに魔術を刻んだ。故に彼の大成してからの名はアリア。
さぁ今ピッタリな曲がある。生き残りの皆様に披露するとしよう。曲名は魔王。シューベルトの曲だ。歌詞はまったく別物だが。
「一人やられたぞ、何だあの歌は?」
「ええい、どうでもいい。さっさと撃ち殺せ、魔術師は詠唱、前衛は盾を構えて術者を守れ」
あれがリーダーか。歌いながらライフルを構える。
「ダメです、魔術が使えません。あの歌は連続して妨害し続ける術式なのでしょう」
「ならば、他に同時には使えまい。そんな事できるのなら、私が知らないわけ」そこでリーダーらしき人間の言葉は終わる。
最早彼らは動く的、女もいるようだが、知った事ではない。男女平等、実に良い言葉じゃないか。こちらに盾で守りながら突っ込んでくる男を、ショットガンに持ち替え、引き付けてから、撃ち殺す。この世界の盾等、起動できない現時点では意味が無い。
そこから先は作業だった。ただ淡々と逃げ惑うクズ共を、確実な殺意を込めながら引き金を引く。
殺す事はないだろう? 全くもってその通りだ。だが、何故か抑えが効かなかった。
何故、ただそれを頭の中で繰り返しながら意識を手放した。魔力が足らないのだ。当然だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます