第101話コボルト?

 無事帝国の国境を越えた。やはり夜闇に紛れて空から入るやり方には、対策など無いらしい。



 入ってしまえば、あとは目立たなければこっちの物だ。派手に買い込んだりするのは止めて、今回は堅実に仕入れをしようかね。



 国境を越えたと言っても、でかい砦と隣接する小さな町があるだけだ。戦時中という事もあって、この町はスルーして進むべきだろう。よそ者は今は目立ちすぎる。また野宿か・・・



 夜も遅い。早く寝床を見つけなくては。早々に岩陰を見つけ野営の準備をして寝る事にした。



 くすぐったい。何かに舐められているのか? 寝ぼけ眼を開けると、そこには子犬が。うむ、可愛い。そのまま抱き寄せ、撫で回す。



「やめるでつ、くすぐったいでつ」



 犬が喋った! まぁファンタジー世界だし、なくもないよな。目も覚め、良く見ると手足が発達している事が分かる。物を持つことが出来るのが見て取れる。



「やっと開放されたでつ、撫でるのは上手いでつが、びっくりしたでつ。所で人間さん、この辺は危ないでつから寝てちゃだめでつよ?」




 害意に反応する結界をはっていたから、問題はないんだが。こいつの場合純粋に心配して来たのだろう。全く反応した形跡が無い。



「心配してくれてありがとう、初めて見る種族だが、君はなんていう種族だい?」



「リーフコボルトでつ」



 コボルト? 確か醜い妖精だったはずだが、こんなに可愛らしい。というかほぼ子犬だ。まぁこっちのほうが良いがな。




ジャーキーを取り出し「お礼だ是非食べてくれ」完全に餌付けである。




「ふぉぉぉおいしいでつ、味がどんどん出てくるでつ。人間さんは怖い人も多いけど、優しい人もいるから好きでつ」



 怖い人?間引く対象には見えないのだが。


「怖い人?」



「僕達を捕まえて、首輪を着ける人達でつ。でもその後はだいたい優しい人の所に行くらしいでつ」




 ペットハンター的な物? だろうか、まぁ飼いたいってのは理解できなくは無い。



 ジャーキーを食べる姿は、非常に可愛らしい。ほのぼのする気分はいつぶりだろうか?



「所で、この辺で安全に休める所はどこだろうか?」



「案内するでつ、付いてくるでつ」




「忘れていたでつ、秘密の場所だから、魔術で秘密を漏らさない約束を先にするでつ」



「ああ、やってくれ」 罠であれば途中で破棄すれば良い、こいつに限ってはなさそうではあるが。



 普通にギアスに似た術式だった、効果も似た物と見て間違いないだろう。安全な場所に連れてってもらうとしようかな、そこでなら風呂も出せるだろう。




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