第90話半年間の日誌
許可自体はすんなり取れた。宿代として多少金を渡したのもあるが、元々共にいた仲間だ、金云々はなくても問題は無かっただろう。
彼女も働くようだ。二人と違い賃金を出す必要がある。この辺の賃金をリサーチする必要もありそうだ。
店はこれで回るだろう。
後は自分の事だ、半年もすればソロに戻る事となる。今現在も実質ソロではあるのだが・・・
とにかくだ、これからどういう方針で生きていくにせよ、面倒が付きまとうと思う。今までの自分の身に起きた事を考えれば、そう思うのはおかしくないと思うのだ。
理想は何処かで稼いで、大量に物資を揃えてから、ひっそりと暮らしたい物だ。その為にも鍛える必要がある。目標は金クラスの冒険者をあしらえるくらいだ。
ルイがいないので、実践は相手がいない。なので貰った魔術書でひたすら学ぼうと思う。
それから俺は篭るようになっていた。3人にはソロでやって行く為に、必要だからと、あまり構わないように頼んだ。
3ヵ月後、流石にミルが心配になる時期なので、店を手伝う事にする。お腹が凄い事になっていた。小柄なミルが無事生めるのだろうか?
最悪の場合を想定して、補助から帝王切開の知識を引っ張り出す。器具が足らないが。魔術と併用しながらやれば出来なくはないだろう。
一応スロートとミルにこの事を話しておこう。
話したら、大丈夫ありがとうと返された。 あの体形の人間が子供を生む事はそこそこある事例らしい。流石ファンタジーとしか言い様が無い。
一月後、普通に生まれた。母子共に健康その物だそうだ。名づけ親を頼まれたが、「俺にそんなセンスは無い。自分の子だ、名づけは親の仕事だ」といって辞退した。
その10日後ルイが帰ってきた。自宅が使えない状況とかで、ここの空き部屋に来れば良いという話に落ち着いた。
それからは、ひたすら実践修練だ。魔術やスキルありのかなり実践的な修練で、力の差を思い知る事となった。
速すぎて対応できない、重すぎて流せない、未来予知かの如く見切られる。手の打ちようがない。
本人曰く、「ここまで独学でやれるとは、驚きだよ。これは負ける日も遠く無いね」だそうだ。こっちは勝てる日が想像できないよ本当。
その後、反応速度というより、体への命令伝達速度を高速化する、魔術を教わった。お陰で随分と修練は見れるようになったが、この魔術は必要時以外は使わないでとの事だった。なんでも元々の命令信号に問題が出る可能性があるようだ。
ずっと使い続けなければ問題ないらしいが、少し怖い。
ここを出る一週間前になった。町では凄いニュースが飛び交っている。 なんでも悪逆で有名な二つ隣の王国の王族、重役全てが殺され、城が瓦礫の山に変わったそうだ。それもたったの1日で。
やりかねない人を俺は知っている。問い詰めたら、もう広まってるんだ、結構遠いのにと暢気なものだ。こいつだけは敵にしちゃいけないと、心に刻んでおこう。
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