第61話手紙

 まず、なすべき事をなそう。自己の確認だ。大規模な戦闘、大量の経験値によるスキルの多様化についてだ。それがある場合は高確率でスキルの変容、あるいは取得してる可能性がある。


 因みにスキルの表示自体に鑑定をかけた事があるが、生まれつきの備わるもの、成した事での取得種族での取得がある。等々生まれつきと種族を除けば、資格に近い物のような気がした。条件も何もかも不明だし。この辺はどうしようもない。



 自身に鑑定を掛けた結果はこうだ。



 レベル72


 力91


 HP350


 防御101


 MP600


 速度40


 思考1348



 上がりすぎではないだろうか?



 スキルが変容、あるいは増えているのかもしれない。




 ・・・ん?




 オールロード・・・配下にいる者全ての能力を向上させ、スキルレベルも同様に上げる。配下が倒したSPの1割を徴収する。



 レベルも上がるわそりゃ。ますます補助向きの生産職だな俺は、だが軍師の真似事なんて嫌だよ。今回は仕方なくやったんだ、俺が蒔いた種だからな。



 後は、希望の破棄者がレベル4にまで上がってる・・・人間からのダメージ7割減は凄いな。与えるダメージは5割増。


 後他にも上がりはしたが、変わり映えがするほどの物は無いようだ。



 村長とガウは篭って何か話してるし、ミル達は寝てるし、戦利品の処理が終わった俺には特にやる事がないので暇だ。


 戦利品の処理が何かって? 死体から金属を全部取って鏃に変えただけだ。賠償があまり期待できない以上、このくらいはしないと、経済的に無理が出る。



 平穏が戻ってきて一安心・・・とは言えないが一先ず危機を脱したと言えるだろう。






 場所は変わって、ネール領の城砦、当主は命からがら逃げ帰ってきた。いや、見逃され、メッセンジャーとして使われた部下の報告を聞き、耳を疑った。



 自然そのままに近い村のはずが、城壁の如き堅牢な壁が出来ており、挙句に堀まであるという。



突撃したものの、堀周辺に着き、自軍が切り開かれた場所に入り切ったと同時くらいにまるで平伏を強要されるかのように全ての指が重くなり、倒れ伏したと言う。エルフの奴隷にそのような魔術師がいるかと聞いたが、そんな強力な呪術は専門外だという。




 確かに奴等は、自然に沿った魔術を得意とする種族。これは少しばかり不可解だ。それより、兵の消耗が尋常じゃない。



 エルフを可能な限り、捕縛し、奴隷として運ばせるつもりで用意した軍だ。決してあれだけの数が攻略に必要だから準備した数ではない。お陰で軍の7割の損害だ。どう、隠蔽したものか? この事が王に知れれば間違いなく首が飛ぶ。



 損害の補填もしなければならない。どうしたものか。


 報告を終えた兵は、最後に羊皮紙に書かれた手紙を渡してきた。どちらにしろ相手の意思を確認するべきだろう。



 手紙を読み終えたわしは、絶望に近い物を覚えた、奴隷を解放しなければ、攻め込むとかどうでも良い。




 問題は2枚目の手紙だ。それには淡々と、侵略への批難そしてガウェインの署名があった。これが意味する事を理解した瞬間目の前が真っ暗になった。




 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る