第49話クレイドル

 村までは1時間弱歩いた。道すがら聞いたが、こんな所まで奴隷狩りは入り込む事があるらしい。全く勤勉な奴等である。



 そのせいで、警戒の度合いが上がり、こんな対応をしてしまったのだろう。一息つける上に、道まで教えてくれると言うのだから、エルフには感謝しかないがな。




 村は一言で言うとまさにファンタジー。背の高い木々が並びそこが住居として機能している。木から木へ橋が掛けられている。


 無論、地面にも家はあるが。どちらかと言うと火を扱う施設と言った感じだ。



「これは凄い」


「そうでしょう。ようこそクレイドルへ」



「リュートを呼んできます、ここでしばしお待ち下さい」



 ベンチのような物に座って待てという事だ。



 これで、まともな休息が取れる。今のうちステータス確認しておこう。




 レベル51


 力65


 HP240


 防御68


 MP380


 速度32


 思考915




 おお、かなり上がってる。ここまでかなりの魔物を狩ったからな。しかし、こんなにポンポンあがっても良い物なのだろうか?




 それと、防御と力については、諦めたほうが良いのかもしれないな。



 スキルは・・・並列操作が11まで上がってる。8個まで同時に使えるようだ。8こも使う機会はあると思えないが。



 次は・・・おお、ついに、ついに、来た。初歩魔術が、初級魔術に格上げされてる。しかし・・・この世界では村人にしては出来が良いレベルのようだ。だが、上のランクがある、いずれはもっと上にいけるはずだ。



 あとは錬金術師が練成師となっているが・・・良く分からん。鑑定先生で見ても、使用範囲の増加以外の事は分からなかった。


 あとはレベルが少し上がっただけで、たいした変わりは見受けられない。



「久しいな、ダイス。こんな所ではなんだ、案内するからついて来てくれ。お嬢様も喜ぶだろう」



 そのままついていった。テーブルに着くとリュートは口を開く。



「恩人にいきなり掛ける言葉ではないが、聞いておかなければならない。ダイス、何故あの町を出た?人にとってあの町は良い町のはずだ」



 言っても問題無い事を吟味して、話していく。そこで地金屋兼、料理屋をやっていた事。その技術を狙って来る危ない人間がいる事。そして、その対策で雇った人間すら信頼に足らなかった事。



「まぁこんな感じだよ、あとは身の危険を感じて、持つもの持って逃げ出して来たってだけさ」



「ならばここにしばらく滞在してみてはどうだ?我々エルフは、金属の精製等の技術があまりない。鍛冶屋のような事をしてくれたらこちらとしても助かる」



「そうはいっても村長に聞いてみる必要があるがな。どうだ?」



「どうせ、隣の国に逃げるだけでしたし、エルフの村に変わった所で、俺は問題ない」


「良し、では今すぐ聞いてくる、少し待っていてくれ」



 エルフってもっと排他的なイメージだったんだが・・・意外に実利があればそうでもないのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る