第43話休みを増やしました

 あれから一月が経過した。領主が何かしてくる様子は無い。多分これからも無いだろう。




 次に店が少し落ち着いた。客足が減った訳だから良い事ではないが、同じ物がギルドの酒場で出されれば仕方ない。だが、正直6人でもきつかった、店の惨状を考えると、良かったのかもしれない。


 それでも、まだ出来はこちらの方が上なので、客はまだ多いがな。



 何が言いたいかといえば、時間が出来たのだ。店の休みを増やしたとも言うが。これまではそんな事しようものなら、酒の虜になった飲兵衛共が、決起しそうな勢いだったが、今は代わりの店がある。今なら1日休み増やした所で、ギルドで飲むか、となっている。



 お陰で、久しぶりに討伐系の仕事が出来る。俺のレベルは33.他のメンバーの平均は68とゲームであれば寄生(他人任せにして恩恵を得る事)と言われても仕方ない状態だ。



「ダイスさん、行きますよ」そんな事を考えていたら、スロートに呼ばれていた。



「ダイスさんは、たまに考え込みますよね、暇な時にしかやらないですが、難しい顔をして何考えてるんだろう思いますよ」



「悪い、大した事は考えてねぇよ。防具の事やら、休日の事やら、この魔術の良い運用手段とかそんなもんだ」


「前々から思ってましたが、年齢のわりに浮いた話が無いですね。顔は悪くもないし、稼ぎだけなら僕等より遥かに上。モテても良いと思うんですよね。僕ですらそこそこですから」



「お前は顔が良いからな。それに考えても見ろ、俺が女を口説く時間があったように見えたか?」



「愚問でしたね。店の仕事に追われて、終わっても工房に篭って、僕達の防具やら、本職の素材やら作ってましたもんね。興味本位なのですが、一回見学して良いですか?」



「悪い、他人がいると集中出来ない質なんだよ」


「駄目元でしたが、やっぱダメか。あれだけ良い物だから、少し気になってしまいました。それより早く行かないとミル辺りがうるさいですよ?」



「確かに」集合場所であるギルドに向う。



 この時はまだギルドであんな深刻な事になっているとは思わなかった。

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