第35話領主の館にて

今、俺達3人は領主の館に来ている。でかい、と言っても防衛に使われるスペースが主で、居住区は貴族というイメージからすれば、小さいのではないだろうか。



 ここの領主は、貴族の側面より開拓者や冒険者、あるいは商人といった側面のほうが大きいのかもしれない。


「うわぁ、おっきぃー」等と見た目相応の感想を述べる21歳(笑)



「旦那、ここは修練所もあると聞いた、帰りに見学させて貰える様頼めないか?」お前は何しに来たのかと問いただしたくなる、残念イケメン。



 領主が信用できないから、連れて来た2人だが・・・人選を誤った気がしてならない。


 そんなこんなで、門の前まで着いた。門番の2人に話しかけた所「主から話は聞いております。どうぞお通り下さい」と自動改札を通り抜ける様に通されてしまった。



 門を抜けるとハンスさんが待っており、案内されるまま領主の元へ。


「ようこそライン家へ、歓迎致しますわ」



「伯爵自ら歓迎頂けるとは、恐縮ですな」ミルとガイの二人も同じように挨拶を返す。


「さて、伯爵様。平民風情をお屋敷に呼んで、どのような御用件でしょうか?」トゲトゲしいがこれが本心である。これで俺は要らないとなってくれれば、最高だが。最悪殺し合いになっても良いとすら思っている。



 それ程信用出来ないのだ。ギルド長の話が無ければここにすら来ていない。俺を害するに値する情報を持ってるから、今の所様子を見ていると言うのが本音だ。



 今もコートの下には銃があり、すぐに抜ける状態にある。



「貴方方に来て頂いたのは、今回の街作りの件での条件や報酬を、こちらからも通達する事で、齟齬を無くす為です。後はそうですね、親交を深める事が出来ればと」



 向こうからの報酬は間違い無かった。


「一つだけ聞きたい、何故俺を雇う?建設をやろうが、土木をやろうが俺は通常の素人となんの変わりも無い。質の良い鉄を作る程度ならできるが、変に期待してもらっても困ります。あえて言いましょう、伯爵様に御期待頂いてるような、活躍は一切出来ないと」



「なんの言い訳にもなりませんが。あの時ハンスが私の横にいたのは、貴方の魔術をハンスが恐れたからです。それだけあの魔術は恐ろしい物なのですわ」



「そうですか、分かりました。しかし、今の話が前の話となんの関係が有るのでしょう? 私は伯爵様が私に、過分な期待をなされているようなので、そのような能力は無い事をお伝えしただけです。それと親睦を深めるですか?深まるのは疑念だけです」




 沈黙が場を支配した。これだけ無礼な物言いをしたのだ、この世界では、処罰されても仕方ないのかもしれない。しかし、それでも言ってしまったものは仕方ない。俺が愚かなのは今始まった事でもない。



「今度こそ2人で話しませんか? 無論ハンスはガイさんとミルさんをもてなして貰うのでいません。どうでしょうか?」

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