第36話貴族なんてこんなもの
再び二人きりだ。今度は横にハンスもいない。
「二人になる必要性は一切感じませんが、一応こうなりました。どのような意図なのでしょうか?」
「先ほどの私の期待には沿わない、というのは、どういう事でしょう?」
「それはそうでしょう?私はしがない地金屋もしくは酒場の人間ですよ?それを土木や大工の真似事をさせた所で貰う金額の仕事を出来るとは思わないと申した訳です」
「そんな事はないわ。貴方は出きるはず。少なくとも何かしらの知識はあるはずだもの」
「例え、そう、例えそんな都合の良い物を持ってたとしても、それは大工や土木の仕事ではありません。そして、もしそんな物があるとしたら。それは、巨万の富と等価じゃないでしょうか?それを私に期待するのはあまりに強欲です」
「私だからこのように交渉してるのですよ?他の貴族なら問答無用で」
俺はその言葉を遮り「成る程俺を脅しますか?これは盗賊となんら変わりないですね。申し訳ないですが、この話は無かったという事で」
大声で俺は「ガイ、ミル帰るぞ」
「聞こえてませんわよ。この扉の外側は防音の魔術が設置されてますの、ついでにこの部屋では魔術は使えませんわ」
「そうですか、それでは外へ出て呼ぶとします」
「させませんわ、貴方は私に数々の暴言を吐きました。この場で切り捨てます。ですが最後にチャンスを上げましょう。知識を全て差し出しなさい。そうすれば許してあげる」
俺は机越しに彼女と対峙する。
「確か、金に届くレベルの武勇をお持ちだとか、魔術が使えないこの空間で俺を切り捨てると?」
「私は剣神の加護持ってますので、お構いなく。雷音の魔術が無い貴方など紙切れと大差ないですわ」
魔術ね・・・科学もこいつらからしてみれば同じようなものか。ホルダーからマグナムを取り出して。
「殺し合いという事で良いのでしょうか?」
「魔術を使えないと言ってるでしょうに。交渉は決裂ね、良いわ殺し合いましょう」
本当に殺しても良いのだが。
「殺しはせずにこの隷属の首輪を着けてあげても良いわね」
テンプレクソ貴族かよ、なら良いか殺っても。でもまずは・・・バスターソードを打ち抜いた。衝撃で領主は後ろに叩きつけられる。
「で?何が使えないのでしょうか? 領主様。それと剣神の加護でしたっけ? あれって剣無しでも有効なのでしょうか?」
信じられ無いような物を見ていそうな驚愕の表情でこちらを見ている。腕からは先ほどの剣の欠片が刺さり血を流しているが、それ処ではないようだ。
さて、こいつをどうしてくれようか?
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