第30話ギルドへ

 領主が帰った後、部屋は沈黙に満ちていた。あれだけハッキリと権力者と敵対とまでいわないが拒絶したんだ。仕方ないだろう。こいつらはここら辺りが潮時か、迷惑は掛けられん。



「さて、話は聞いたと思うが、ただでさえ狙われているのに、領主とまでよろしくない状況だ。流石にこれ以上付き合えとは言えない。判断は君達に任せる」



「俺はギルドに行く必要ができた。店番を頼む」



 話し合う時間も必要だろう。その間店番くらい頼んでも罰は当たらないはずさ。


ギルドに行くと、いつものように執務室に通してくれた。


 そこにはいつもと変わらず彼がいた。



「やぁ、折角の護衛も引き連れず、どうしたんだい?もしかして、娘が何かやらかした訳じゃないよね?」




「娘さんたちは、良くやってくれてるよ。問題は俺のほうさ。多分この町にはいられなくなるだろう。領主との関係が、敵対まではいかないがよろしくは無い」



 俺はさっきまでの経緯を一部伏せて話した。



「成る程ねえ。確かに良い状況じゃないね。でも、ここの領主が彼女だったからこそ、君はまだこれだけ動ける。仮に隣の領地なら君はもう逃亡しているか死んでいるよ?」



 ここの領主がまだまともな方なのは分かっている。それでも信頼など持てるわけがない。



「ダイス君。ここは一つ僕にも首を突っ込ませてくれないか? まだ、どうにかなる可能性は十分にある。酒とパンの製法は買い取る事も承諾してくれたんだ。我々の後ろ盾も間違いないと約束しよう。カード(手札)は、それなりにある。どうにかなるさ」



「ありがとうございます」



「なに、君がいないと、僕の楽しみが無くなってしまうからね。とりあえずは護衛はそのままで、今まで通りにしていてくれればいいさ」



 彼は大きな物を拝みに言ってくるよと言ってそのまま出て行った。俺は店に戻るとしよう。あと少しはここに滞在するんだ、護衛の彼女達もまだいてくれるはず。ダメならギルドで少し世話になるとするか。



 店に戻ると彼女達はいた。答えは出たのだろう。妙に雰囲気が柔らかい。さて答えを聞くとしよう。

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