第29話領主と執事

「申し訳ありません」ハンスは謝罪するが誰が彼を責める事が出来ようか? それだけ彼の能力は高い。おかしいのはダイスよ。


「気にしなくて良いわ、私もまさか気付くなんて夢にも思わなかったもの」



 見つかった事自体は仕方ない。これからどうするかよね。彼の力が他に行くとして一番まともなのはギルドなのは間違いないわ。無論腐った地域もあるだろうけど、少なくとも本部とここのギルドは大丈夫。



「ハンス、案は無いかしら?」


「大きく分けて三つですな。殺すか、放置か、引き込むか」



「まず、殺すですが、一番手っ取り早く、他に力を付けさせる事を防ぎます。リスクはあのパーティーにこの町のギルド長の娘がいる事です。露見すれば代償は凄まじいでしょう」



「次に、放置ですが。これは彼がどれ程の影響力があるか、未知数なので、あまりお勧めしません」



「引き込むです。しかし、先ほど酷く嫌われてしまいました。警戒されてる以上、話し合いに持っていく事すら難しいと思われます。ですが、一番リスクが低く、利益が大きい。幸い彼はパンと酒の製法をギルドに売るようです。クズ銀や他の合金に付いてはまだ間に合います」




 結局最初と同じになるわよね。最初の二つは、間違ってもそれをするなと、釘を刺してくれたのかしら?お陰で他に余地が無い事が分かったわ。それだけでも収穫ね。



「強いて策があると致しましたら・・・」


 私はハンスの話を聞いて賭ける事にした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る