第22話顔合わせとジン
一時間程他愛の無い話をした。ノックがあり、そして件の人物は来た。見た目は15くらいだろうか?幼さが残るが凛々しさがある。美人系というやつだろうか?
「で?何の用事なの父さん?」
「はぁ。ここではギルド長と呼びなさいといつも・・・まあ良いでしょう。仕事の話です。本来なら討伐クエストをやってもらうつもりでしたが、貴女好みの良い仕事が入ったので、そちらに変更です」
「ようやく面白い仕事にありつけるのね、雑魚の間引きとか嫌よ」
「仕事自体は大して面白くないでしょうが。報酬は貴女次第で面白くなるでしょうね」
いい加減紹介して欲しい所だが、観察するには丁度良い。今しばらく口を挟むのは止めておこう。
「へぇ面白いって事は物か・・・いいね、で?どんな物なの?」
「食事ですよ。無論お金も貰えますが、食事の方が貴女にとっての価値は高いでしょう。この前のお土産と言えば分かりますか?」
彼女の目の色が変わる。無論比喩だが、そのくらい食い気味で。
「という事はあの店からの依頼なんだね?父さん、並ぶの大変だし、すぐ売り切れで店じまいするし。中々行けなかったの。嬉しい」
何故早口になる必要がある?興奮したオタのようだ。
「依頼内容なんだけどね、まずは店主の護衛。製法を盗もうと夜中に忍び込む輩がいるそうだ。幸いあの店は広く、空き部屋もあるそうだ。パーティーメンバー分は問題ないだろう。もう一つはお店の手伝いだね。暴れる以外の仕事もこなさないとね」
「やる、詳しい話はいつすれば良いの?」
「今からすればいいんじゃないかな? 幸い店主のダイスさんは後ろで聞いてる訳だし」
ようやく、俺が話に入れるのか・・・良いけどさ。
「アンタが幸運の英雄さん? いつも遠目でしか見たこと無いから、近くで見るのは初めてだね。私はリム。この胡散臭い親父の娘さ。歳は16、得意な武器はダガーと身体強化の魔術。よろしくね」
「御丁寧にどうも。俺はダイス、流浪の旅人だったんだが縁あって店を開いている。よろしくな」
「ところで二人に聞きたいんだが、きつい酒ってのを飲んでみたくないか? そう、喉が焼けるかと思うほど、きつい奴をだ」
ある程度うまくいくと踏んでいたので、礼を兼ねて持って来た酒だ。元の世界では通称ジン。今回のは40度程度に抑えた物だがこれでもこの世界の酒では有り得ない物だろう。それと市場にあった柑橘系の果物。甘味はあんまり無いが酸味が強い。レモンに甘味を申し訳程度に付けたような果物、この二つを机の上に置く。
「君がもって来る物なら大歓迎さ。でもその横のスランの実はなんだい?」
「この酒に少し絞って入れると美味いんでな」
テンション高く「飲みたい、飲みたい。これ、ダイスの店でまだだしてない奴でしょ?」
「はい、出してないですね」
「それは、飲まない訳にはいきませんね。コップはあります。さぁ飲みましょう」
まてまて、お前は仕事中だろうが。
「ギルド長ともあろうお方が、勤務中に飲酒をすると?これは問題ですね」にやにやしながら俺は言う。
「いえいえ、これは新しき物がどのような物が調査する、立派な職務です。たまたまそれがお酒だっただけの事ですよ」
「そういう事なら仕方ありませんね」
俺は容易されたコップにジンとスランの実を入れて二人に渡す。無論コップからすれば少量だ。
「ダイス様ともあろうお方が、少しばかりケチ臭くないですかな?半分も入ってませんが?」
「並々ついでも良いが、本当に良いのか?どうなっても知らんぞ?それは5倍に薄めてようやくそこいらの酒のきつさだぞ?」
ほう、と言いながら飲み干す。
「これは・・・きつい、だが美味い。このがつんと来る感じとスランの爽快感はたまりませんね」
娘のほうも同じような感想をいっている。どちらにしろ気に入ったようだ。
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