第21話ギルドに相談に行く

 ギルドに入ると、受付嬢はどうぞと、フリーパスで上の執務室に通される。毎度ギルド長に用事と思うなよ。今回はそうだけどさ・・・



「やぁダイス。今日はどういう用事かな?夕方には勝手にこっちから顔を出すのに」



 全くもってその通りではあるが、他の客に聞かせる内容ではない。



「製法を盗もうと、夜中に店に忍び込んできた馬鹿が今の所3件。対策はしてるから被害は今の所ないが、相手が次どうするか考えると、わりと笑えない状況だ。元々アンタのせいでもあるんだ、手を貸してくれないか?ダメなら数日中にこの町を出て行くとするよ」



「それは非常に困りますね。私の唯一の楽しみが無くなってしまいます。これは一大事です。ではこちらから提案出来るのは二つあります」



「まず一つ目は利権をギルドに売る事です。後ろ盾てと莫大な金額が約束されるでしょう。本部への交渉も手伝いましょう。利点はギルドからの後ろ盾と金銭ですね。生半可な貴族くらいじゃどうにもならないでしょう。デメリットは有名になるのは避けられませんね。手遅れな気もしますが」




「二つ目はこれはギルドの本分でもあります。依頼を出してみるのは如何でしょう?護衛と店の従業員の仕事を両立できる人材に数名ですが心当たりがあります。お金には困ってないでしょうし。信頼できる人間を準備しましょう。如何でしょうか?」




 どちらも助かる。1つ目は良い話だが今すぐと言うのは困る。力を付けるまではそれは止めておこう。




 2つ目これが今は一番現実的だろう。何より人手不足で死にそうだ。信用面で人を雇えなかった俺としては渡りに船だ。完全に信用する訳には行かないが、それでも他よりは良い。


「2つ目でお願いします。でも、まずはその人たちを直接見たい」



「それは何より。その中の一人はもうすぐ来る頃だろう。一応言っておくが手を出してはいけないよ?僕の娘だからね。他の子達もそのグループのメンバーさ。一応銀のクラスだから結構な上位に部類するよ」


 娘かよ。そりゃ信用もあるわな。銀と言えばかなりの支払いになると思うのだが・・・


「銀の報酬となりますと流石に・・・」


「そこは問題ないよ。報酬自体は普通の従業員に毛が生えた程度で良いさ。娘なら君の賄いを餌にすればすぐ釣れると思うよ。僕が言うのもなんだけどチョロイからねぇ。最近は美味い仕事も無いから遊んで回ってたし。僕としても助かるんだ」


 なんというか、うん、優秀だけど働かず遊んでいる娘に仕事を探してあげる親父・・・いつも飄々としているが色々あるんだな。


「そんな眼で見ないでくれるかな? 僕としても思う所はあるけどさ。利害の一致はたしかにあるんだ・・・」


 ションボリしてしまったギルド長。それよりその見た目で銀になる娘って・・・何歳だよあんた?20代半ばだとばかり思ってた。ギルド加入最低年齢が確か12のはずだ。12歳以上の娘がいる事になる・・・



 とりあえずは娘にあってからだ。


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