第20話繁盛しすぎて・・・

あれからというもの、ギルド長がよく来る。仕事の邪魔もしないし、そこまで長居する訳でもないからまあ良いが。



 最近では「軽食でいいから出しましょうよ。絶対いいですよ」と完全に入り浸る気満々だ。



 仕方ないのでパンと酒と加工肉(ベーコン等)しかないが出した。それがいけなかった。すぐさま人が人を呼び。忙しすぎて目も当てられない惨状だ。原因は天然酵母から作るパン・・・しかもこっちで調整したかなり良い物。当然そのパンは従来の物とは全く違う食感と味になった、まぁ油や他の素材の差もあるが。






 更には燻製の技術の差があるため、こちらも当然評判になった。今では金属を売る店なのか、それとも軽食屋なのか分からない忙しさだ。



 この技術の差であるが、道具の差と知識の差である。物質を好きな形に出きる俺は、ある程度の器具を作る事が出きる。そして作ってしまったが、これ以上の忙しさも無用な知名度もいらないので、作るだけ作って秘蔵状態にあるのがこのブランデーである。他にもこの辺で買える物から色々作ったがこいつらも無論秘蔵する。


 とは言っても、客に出すのとは別にしているだけで、普通に飲んでいる。


 残念ながらギルド長には、俺だけが何か別の酒を飲んでる事がばれている。匂いでわかるそうだ。犬かお前はと言いたい。昨日からはそれを売ってくれと五月蝿いので1杯小銀貨5枚とえげつないほどの法外な値段を提示した所、普通に払いやがった。



 それからと言うもの、奴は食い物とその酒ばかり注文するせいで、秘蔵の酒は1月もせずにただの高級酒となってしまった。金は増えたが忙しさで死にそうだ。


 週に1度休みを作ったが、人員が足らない為、やはり無理があるのが現状だ。


 そして分かってはいたが当然出た。Gではないぞ?スパイだ。これだけのものを出せば製法を知りたいというのは当然のこと。しかしだ、空間庫に大体の物をしまうので店には基本何も無い。



 最近では食事を出しているせいで店には何も並べていない。オーダーが来てから金属を後日に渡す流れなのでそもそも必要が無いのだ。スパイは焦っただろう。入り込んだは良いが、全く物が無いのだから。



 だったとしても、何の変哲も無いその辺で買える食器や棚、あって当然な物しかない。スパイはさぞ困惑した事だろう。



 だが、これで次に何が起こるかは想像に難くない。製法を盗みたいが何処にあるか分からない。じゃあ次は俺に聞くだろう。聞くと言っても今までも散々聞かれている。金を積んでる頼む者も少なくない。聞くは聞くでも拷問などで強制的に聞くタイプだ。



 銃で迎撃してもいいだろう。しかし、この力はもっと面倒な連中を呼び寄せる可能性がある。どうするべきか。こう言う場合、事の発端の奴に文句を言い、それから打開策を求めるのは当然の流れだろう。



 そうと決まれば俺はギルドに歩き出す。

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