第18話科学は素敵

町を出て、オークの生息ポイントに来ているわけだが・・・思ったよりいない。まあ当然か。定期的に間引いているだろうしな。




 オークの特性はこれもまたテンプレだ。女の敵って奴だ。生まれる割合がほぼ男、女は1%に満たないとか、そんなんだから多種族にまでと節操無い嫌われ者になるんだ・・・いや、その点で言えば人間も大差ないか。エイズの発端は特殊なクズ野郎って説があるくらいだし。それじゃなくてもそういう話は色々ある。


 人間は男女の出生に差ほど差は無いはずだから、人間の方が余程酷いな。


 今、この場は平野だ。何故この場所にいるかと言うとだ。ほれ来た。オークの群れが釣れた、見渡しが良いのだ。俺を見つけるのも容易い。そして、ある程度近づいたオークの体に銃弾を打ち込む。このように、奇襲されにくく、こちらの射程が圧倒的に長い。



 更に銃は俗に言う44マグナム。大型の弾丸を撃ち込む破壊力重視の物だ。わざわざ頭を狙うまでも無くその命を刈り取れる。



 銃には反動と鑑定して-3を付与した。お陰で片手で撃てる。オークは何が起こってるか理解できず。しかし、横の無残な仲間の姿を見て、背を向けて逃げ出す。



 当然そんな物的以外の何物でもない。銃自体の命中力と己の命中力を鑑定後+3を付与する。後は撃つだけの簡単なお仕事だ。死体を空間庫に放り込み、シリンダーに弾を装填して釣り待つだけ。



 日が傾く頃には31匹のオークが釣れた。無論全て仕留めた。そろそろ帰るために掃除だけはしておこう。掃除するのは弾の残骸だけだが。



 ただ周囲に抽出を掛けるだけ。それだけで手元に弾の素材として帰ってくる。なんとエコなのだろうか。


 耳だけ切り取り適当な袋に詰めて、ギルドに向う。酒場も経営してるだけあって結構な人間が来ている。昼討伐に出かけて帰ってきた者も合わさるのでなかなか人が多い。明日の朝に出直すべきだろう。


 結局店に戻り自身を鑑定して寝ることにした。



 レベル23


 力50


 HP113


 防御45


 MP90


 速度22


 思考380




 かなり上昇したな。まああれをこの武器無しで倒すなんて無理だし。科学の勝利という事で。これでこの世界での生存率は上がったはずだ。飯を食って寝るか。嗚呼、風呂が恋しい。






 場所は変わって領主の館。






「雷音の魔術ですって?効果は?」






「はい、オークを一撃で葬り去りました。多分攻撃が早すぎて見えないのでしょう。ご自身を餌にして、視界を妨げるものの無い場所で迎え撃つようにしておられました」






 領主の女性は渇いた笑いを上げて「オークを一撃・・・それほどの魔術、そう多用は出来ないでしょう?何匹仕留めてきたの?」






「31匹でございます。同時に最大7匹の群れと対峙なされましたが。まるで作業のように手早く仕留めておいででした。それと収納系統の魔術にも造詣深いとまでは言いませんが、あることは間違いありません。仕留めたオークは全て収納されておりました」








「本当に貴方がいて助かったわ、ハンス。その鷹の目が無ければ、それほどの人間を監視なんて無理ですもの」






「いえいえ、執事としてこの程度は当然でございます」






「もう、いいわ。さがって良いわよ」






 失礼しますと部屋を出るハンス。




「これは欲しいとかそういう話では無いわね。他に取られたら笑えないわ。早めに動くとしましょうか」

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