第13話アトリエを開く

 まずはこの世界に於いて俺の有利な点と不利な点を考えるべきだ。



 有利・・・知識、フリーター・・・正しくは便利屋をやってたお陰で色々な知識を浅く広く持っていると自負している。前の世界ではくだらない薀蓄レベルでもこの世界では画期的な知識はあると思う。



 次にスキルだ。荒事に向いた物が少ないので不安はあるが、これは間違いなく利点だ。他にも有るかもしれないが大きいものはこの二つだろう。



 逆に不利だ・・・これもまた知識だろう。風土や習慣、何より価値観。これに大きな違いが有るはずだ。


前世でも現代では悪でも当時は正義なんて事はいくらでもある。このへんを下手に間違えると命に関わるだろう。



 それで一晩考えた結果。この町である程度の基盤を作ることにした。リュートの話しではこの町は国の支配下にありはするが自由な町だそうだ。



 この町の立地が、都市や他の町々に繋がる道を持ち、中継地として、商業が盛んな町らしい。王の方針でこの町は金の流れを淀ませない為に流民等も金があれば、居つく事が容易らしい。要するに俺に都合が良い町だ。



 幸い金は開店資金程度はある。借家を使ってとなるが、収支はプラスになるはずだ。やる仕事だが・・・地金屋だ。この辺は鍛冶屋当たりとはかち合うが、それはどうでも良い。抽出した金属が不自然にならなければそれだけでやる価値がある。



 そうと決まれば店探しだ。宿の親父に聞いたら仲介屋を教えてれた。


 店選びはそれから気持ち良いくらいにスムーズにいった。廃業した鍛冶屋が空いていたのだ。即金で契約金を払い。1年分払う代わりに少しばかり割り引いてもらった。



 前世でもそうだが即金は強い。貰うほうとしては一番安心できるから当然といえば当然だ。



 なんだかんだ準備していたら3日と手持ちの金を7割程度消費していたが問題ないだろう。明日の朝からアトリエ・ヘパイストスのオープンだ。



 まぁ名前は安直だと思うがリブと迷った挙句結局神じゃねぇーかと、己のネーミングセンスの無さに嘆きながら付けた。


 ギリシャかインド神。地金屋で鍛冶の神とは・・・早まったかも知れん。しかし看板はもう出来たのだ。



 さぁ明日からは忙しくなるぞぉ(願望)

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