第2話 死者からの使い 衝撃映像
授業終わり、律架は部活などに行く友人たちに別れを告げ帰路についた。大学から自宅の最寄り駅までは電車で20分ほど。しかし、山の方なので周辺には何も無く。いつものように、大学の最寄り駅に向かう道すがら、何やら物騒な2人組を発見する。
「何あれ・・・?」
律架が偶然見かけたのは、逃げようとするジャージを着たいかにもニートっぽい男を、後ろから若い男が羽交い絞めにしている場面だった。ニートっぽい男は低い唸り声を上げながら若い男を振り払おうとし、若い男は振り払われないように腕に力を込めながらズルズルとニートっぽい男を引きずっている。
「どこ行くんだろ・・・?」
人生の半分以上を病院もしくはベッドの上で過ごしていた律架にとって、目の前で起きていることは衝撃映像だった。例え周囲の人々が普通に無視して通り過ぎるような緊迫感の無い様子だったとしても。律架は当然のように興味を惹かれ、その2人組について行った。
しばらく後を付けると、2人は何やら懐かしい趣の素敵なお屋敷に入って行った。そこまで行くとさすがの律架もその先までついて行くのをためらう。
『ここってどこなんだろ・・・。なんか知らない所まで来ちゃった・・・』
律架はそう思いながらうろうろと周囲を見回した。すると、そのお屋敷の外壁に小さな看板が設置されていることに気が付く。
『便利屋ハウツーはこちら・・・・って、まさかあの求人の!?』
律架は思わぬ偶然に驚いた。そうこうしているうちにお屋敷のドアが開く音がした。出てきたのは、先ほどとは違う紳士的な男性とその男性に捕まえられて大人しくついて行っているニートっぽい男で、彼らはいつの間にか呼びつけていたタクシーに乗り込みさっさとその場を後にした。律架がその様子を眺めていると後ろから不意に声をかけられた。
「何か用?」
「へっ?!」
律架は思わず飛び上がった。声の主を見ると先ほど羽交い絞めにする方だった若い男だった。
「え?依頼者?普通に入ってええよ」
「え・・?いや・・あのー・・・?」
その若い男は律架の話も聞かずにズカズカと中に案内する。律架は仕方なく男について行った。
「しゃちょー、お客さんやで!」
若い男が社長と呼んだ男は、全身黒のスラッとしたイケオジだった。
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