Royal milk story 新人便利屋・橋場律架
小原まつり
第1話 死者からの使い 求職中
橋場 律架。南條大学薬学部1年生。現在、アルバイト探し中。大学の掲示板に掲載されているアルバイト情報を真剣に見ていると後ろから不意に背中を押された。
「うわっ!びっくりした!誰?!」
少しきつめの関西弁でそう言いながら振り返ると見慣れた顔がそこにあった。
「え。裕太くんやん。何やってんの?」
「なんやその反応。たまにな、実習の手伝い係として呼ばれんねん。お前、アルバイトなんか探してんの?・・・絶対無理やろ。」
坂崎 裕太。普段は大学病院勤務で松谷第一病院で週2回小児科医をしている。律架の兄の同期で幼馴染。
「無理じゃない。私にだってアルバイトくらい出来るわ!」
「いや、ちゃうやん。お前には何よりも高い壁が3枚あるやろ」
「・・・。裕太君が言うとリアリティ―有りすぎやからやめてくれへん」
「ほんまのことやん」
高い3枚の壁・・・。医者の兄と兄の同期の主治医たち。これは律架を悩ませることで・・・。律架は生まれつき『ファロー四徴症』という先天性心疾患を持っていて、2歳の時に根治術を受けたのだが高校生になってから不整脈が出現するようになり、1年ほど前にペースメーカーを埋め込んだ。加えて母親譲りの喘息持ちで・・・。子どもの頃からとにかく過保護にされてきた。しかしこの過保護は律架にとっては鬱陶しく・・・。
「裕太君、言ったらダメだからね」
「なに。お前、あいつらに黙っとくつもりなん?」
「そりゃそうでしょ。バレたらやばいもん」
「分かってるならええけど。門限だけは破らんようにな。あ、俺そろそろ行かなあかんわ。ほなまた家でな」
裕太はそう言うと律架を残して階段を昇っていった。律架は再びアルバイト情報に目を戻したが、中々良い求人は見つからず・・・。そう思っていた律架に引っ掛かったのは端っこの小さな求人で。
「便利屋ハウツー・・・?便利屋って何するんだろ?って、掲載日2年も前やん。どんだけ人足りひんのよ」
律架は1人で呆れたが、時計を見て慌てて授業のある教室へ向かった。
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