イロナ・コルヴァンからアマーリアへの手紙
親愛なるアマーリアへ
わたしは今、デヴォンシャーのダートムーアという地域に来ているの。ここはロンドンと違って見わたすかぎり荒野が広がっていて、とてもさびしいところよ。たとえどんな文明国でも、田舎はどこも同じね。トランシルヴァニアの山奥とそう大差がないわ。
実を言うと伯爵のカタキを捜すのに、ほんの少しだけ手こずっているわ。だからと言って、早とちりして駆けつけてこないように。おまえにはスコロマンスの留守を守る役目があるのだから。
べつに心配しなくても、とても頼りになる協力者を得ることができたわ。ジェームズ・モリアーティ教授という男で、ロンドンを影で牛耳る犯罪組織の長なのだけれど、その情報網で伯爵のカタキを捜してくれているというわけ。ただし交換条件として、彼の仕事を手伝わなければならないの。べつに危険な仕事ではないから安心してね。ただオオカミに変身して、ある男を脅かせばいいだけよ。
だけどひとつ問題があって、手伝いが終わるのに時間がかかりそうなのよね。それに伯爵のカタキを見つけ出すのも、なかなかカンタンにはいかないみたいだし。なので非常に残念だけれど、聖ジョージの日前夜までに帰れなさそうだわ。
わたしがいなくてもみんなで協力して、しっかりお宝を確保するのよ。わかっているでしょうけれど、もし農夫たちに先を越されるようなことがあれば、おしおきだからね。覚悟しておきなさい。
イロナより
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