アマーリアからイロナ・コルヴァンへの手紙

親愛なるイロナ様

 聖ジョージの日前夜の件はご安心ください。イロナ様がおられなくとも、わたくしが完璧に取り仕切ってごらんに入れます。みごと百万フォリントのお宝を掘り当ててみせましょう。けれど本音を言えば、やはりイロナ様といっしょに過ごしたかったです。

 わたくしはさびしいです。わたくしだけでなく、ほかのみなもイロナ様の不在をさびしく思っています。さびしさのあまり、昨夜などは全員同じ部屋で寝てしまったくらいでした。もちろん、寝るだけでは済まなかったのですが。みなそれなりに上達してまいりましたが、やはりイロナ様の巧みな指づかいと舌技には到底かないません。早くあの快楽をふたたび味わわせてくださいませ。

 ところでおそれながらお尋ねしますが、協力者のモリアーティとかいう男は、本当に信用できる相手なのでしょうか? イロナ様は世間知らずなところがあるので、悪い大人にだまされはしないかと、わたくしはとても心配です。「あのね、わたしは四百歳越えてるのよ。子供扱いしないで」とイロナ様はおっしゃるかもしれませんが、都会へ出た田舎者が身ぐるみ剥がされて、尻の毛まで抜かれるなどというのは、よくある話です。くれぐれもご用心を。

 トランシルヴァニアより愛をこめて。

アマーリア

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