どこか達観した少年フクチが、我が道を行く少女ハルカに巻き込まれてラジオ番組を作る、お仕事ものとしても素敵なボーイミーツガールのお話です。
少々ひねくれたフクチの目線を通したユーモアはさらりとしていて好ましく、決して媚びないハルカとのもたれ合わない関係性は、微笑ましくて心地よいです。
また、ラジオ局という仕事場を探訪する面白さもあります。
プロとして働く大人たちと、そのなかでいいモノを作るんだと矜恃を持ってひたむきにラジオパーソナリティを務める同級生のハルカ。大人が尊重とともに若者へ向けるまなざし、背中を押す様子は勇気づけられます。
ラジオに思い入れのある方であれば、電波を通じて見えない誰かと繋がっている、たくさんの他者が同じ時間に存在している、あのラジオ独特の空気を感じられることでしょうし、
ラジオを普段聴かない方でも、音に情熱を傾ける大人や若者たちの青春と、現場のピリリとした緊張感を、各エピソードタイトルに冠されたロックの名盤たちを聴きながら味わうのも楽しいでしょう。
彼らがどんな番組を作っていくのか、フルタとどう向き合っていくのか、今後の展開を心待ちにしています。