第2話
聞きなれたアラーム音が鳴った。
またこの夢かと思いながらアラームを消して徐に布団を被った。
今日は絶対に起きたくない……理由は簡単で、ただ単純に学校に行きたくないのだ。
高校入学日に学校に行きたくないなんて俺の性格上ありえない事だ。
幼稚園の頃から優等生感を振る舞い中学卒業まで無遅刻無欠席を貫き、学年トップの成績を誇る俺は母親の家事全般の手伝いをして喧嘩のひとつもしてこなかった。
断言してやる。
この世界に神様は存在せず、努力しても報われることなんてない。
俺はただ順風満帆に生きたかっただけでそれに見合う事以上の努力をしてきたつもりだ。
それがなんだ!!急に母親のわがままで不良だけを集めた学校に入学して兄を見つけてくれだ!?人生設計滅茶苦茶だよ!!俺の人生は……終わりだな。
「歩!!そろそろ起きてご飯食べなさーい!!今日は入学式なのよぉ!」
そんな事は分かってる。馬鹿にしてるのかな?こんなに母親に腹が立つ日が来るとは夢にも思わなかったよ。
「もう起きてるよ!!」
声を荒らげて精一杯の反抗をした。これが反抗期というやつなのか……そんなことを考えながら着替えを済ませてリビングのテーブルに着いた。
「はぁ。」
座った途端にため息が漏れてしまった。
「入学式の日にため息なんてやめてよね。しっかりなさい、お兄ちゃん見つかったらすぐ辞めていいから」
「あたりまえだ!って言うかいるかどうかも分からないんだよね?兄さんがいなくてもすぐ辞めるからな」
「はぁ……それでいいわよ。それにお母さんは歩がなんとかしてくれると思ってるから」
この人は無責任の塊だ。
「それじゃもういくよ。着いたら連絡できないから親父によろしく言っておいて」
「了解!!」
母親は楽しそうに言い放ち、俺は朝食に手を付けず家を出た。
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