第2話
振り向くと見知らぬ男子生徒の顔が私の真横にあった。いつの間にか肩を組まれていた。
女子としては今すぐ振り払いたいが、男子だと思われているのにそんな事をしたら、ただの付き合いが悪い奴だ。だから、頑張って気にしないようにする。
「なんだよ、いきなり大声だして。あ、俺は別府 英知だ。お前は?」
「並木 とし、です。」
「としだな!よろしく!俺、お前とちょー気が合うと思うわー」
え、私絶対気が合わない人だなって思ってたのにそれ言う?
「お前も半分、女子の制服目当てなんだろ?」
「え?」
めっちゃ、にやにやしながら聞いてくるんだけど…
「ん?違うのか?でもさっき、いいなーって言ってたじゃねーか」
あーそういうことか!違うけど、そういうことにしておこう
「う、うん。まあね…君もだったんだ…」
私、今すごいひきつった顔してるんだろうな…
「おう!ってか君ってのやめろよ。お前、もしかして優等生か…⁉」
「どうして、そういう発想に直結するかな…。知り合って3分で名前なんか呼べるわけないだろ?」
チャイムが鳴った。彼との話を終わらせるのにちょうど良いタイミングだ。
「わた、僕もう行くから」
私は早足でその場を離れて人混みに紛れる。私の背は高くはないから見つからないと思う。
体育館に入り、自分のクラスの列に座る。私の両隣は女子だった。
ラッキー!早速友達作れるじゃん!
「ねえ…」
しまった!私、男子だった!
「はい?わ、男子…」
気持ちは分かるけど、本当に男子だったら声に出されたら傷ついちゃうからやめてあげてね?
心の中でそんな事を思いながら、声をかけた理由を慌てて考える。声をかけて1秒。私が声をかけた女子の向こうに男子が座っているのが見えたので、これしかない!と思って声をかけて不審に思われないギリギリの2秒で次の言葉を発する事ができた。
「…席、交換しない?僕の隣女子だし、君の隣は男子だし、」
言葉は足りなかったが、分かってくれたらしく
「あ、うん。そうしてくれるなら。ありがとう」
「うん。こちらこそ。」
そうして、席を交換する。
男子の話し方あんな感じだよね?女子っぽくなかったかな?
あの子顔赤くなってたけど、怒ってたらどうしよう…ただでさえ、なんともいえない性別の状態なのにハブられたりしたら辛すぎる…
入学式が終わった。校長は立派なこと言ってたけど、こないだ制服の件で行ったときのこと思い出すと胡散臭く感じてしまった。席を交換したあとは誰とも話さなかった。
男子に告白されました⋯! 深海美桜 @b_blossom
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。男子に告白されました⋯!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます