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宝石の国は北の大地である北海道に作られた、森の中にある小さな小さな孤児院だった。
そこには現在、六人の子供達が暮らしていた。
最年長は瑠璃、琥珀、翡翠の三人で、三人はみんな十五歳だった。残りの三人はもっと幼くて、十歳、九歳、そして七歳の子が暮らしていた。
院長をしているのが、先生で、宝石の国にいる大人の人は先生一人だけだった。
宝石の国では先生が勉強を教えていた。
でもそれは中学生までの話で、高校生になれば、瑠璃、琥珀、翡翠の三人は近くにある(とは言ってもすごく遠いところだけど)町の高校に通うことになっていた。
三人はそのことをすごく不安に思っていた。
宝石の国で暮らしている子供たちにとって、世界とはこの周囲にある、自分たちの手が届く範囲のことを指している言葉だったからだ。
勉強の合間にはみんな好きなことをして暮らしていた。
基本は全員が自立した生活を目指しながら、共同で、お互いに支え合い、救いあって暮らしていた。そうしなければ生きていけないほど、この場所での生活は大変だった。
先生がもともと芸術家であったという過去から、この場所では子供たちはみんななにかの創作物を作ることが、主な時間の使いかたとなっていた。
瑠璃は本を読み、それから自分で詩や物語を書いていた。
翡翠は周囲に大量にある木材を使って、彫刻をしていた。よく、熊や鹿や鳥などの彫刻を翡翠は彫っていた。
琥珀は絵を描いていた。
先生には、よく絵を褒められたが、琥珀はまだ自分の絵をあまり気にってはいなかった。技術は先生に教わったおかげで上達したけど、本当に自分の描きたいものがなんであるのか、自分でもまだつかむことができていなかったからだ。
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