二人は先生に瑠璃の残していった手紙を見せた。

 先生は瑠璃の手紙を読んで、それからすぐに二人の顔を見た。

「この手紙を見つけたのはどっち? それとも二人一緒に見つけたの?」先生が言う。

「僕です」翡翠が小さく手を上げて答える。

 それから先生は手紙を見つけた時の様子を翡翠に詳しく聞いた。それから少しだけなにかを考えたあとで、ソファーから立ち上がると、部屋の中にかけてあったコートをとって、スーツの上からそれを着た。

「街の人たちに連絡をしたとしても、おそらく間に合わない。今から私たち三人で瑠璃を追いかけようと思う。二人とも、それでいいかな?」

「はい」

「はい。わかりました」

 二人は先生にそう返事をすると、先生の部屋を出て自分たちの部屋に戻り、すぐに外出の準備を整えた。

 琥珀は首に厚手のマフラーを巻いて、手袋をすると、自分の部屋を出ようとした。そのときに琥珀は、まだ描く題材の決まっていない真っ白なキャンパスに目を向けた。

「琥珀」と翡翠が廊下から琥珀を呼んだ。

「うん。すぐ行く」

 琥珀は電気を消して、自分の部屋から廊下に移動した。

 翡翠は薄い緑色のマフラーと、愛用の茶色のコートを着ていた。手には黒い革の手袋している。

 琥珀は真っ白なマフラーにオレンジ色のコートという服装だった。

 二人は宝石の国の玄関に移動する。 

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