40.戦神の礼拝堂
「ランディくんと、最後に別れた場所へ行きましょう。トーマスくん、礼拝堂でいいんですね」
「ああ。そこ以外は、全て回ったはずだ……隠し通路でも無ければ」
宗谷は、イルシュタットから砦への移動中、トーマスから、砦内部の見取り図を見せて貰っていた。
村で昔、測量した羊皮紙製の図面で、それによると砦の奥に
「バドの奴がそのせいで、かなりいきりたっててな……よりによって」
「
「兵士や戦士達は
宗谷は一拍置いて、さらに続けた。
「勇敢と無謀は違う。決してはき違えてはいけない」
途中、ランディ達
そして、生きている敵に遭遇する事は無く、礼拝堂の前まで到着した。
「……ここにも、
礼拝堂の木扉には、またもや赤と黒の文字で破滅の呪詛が記されている。さらわれた村人は、ここに連れ込まれたのだろうか?
宗谷は振り返り仲間を見渡すと、レベッカの顔色が青ざめていた。随分と呼吸も荒くなっている。ランディの安否の不安、あるいは、魔法をかけられたときの事を思い出しているのだろう。
(レベッカくんは、かなり辛そうな。礼拝堂に敵がいるかは、まだわからないが、出来る内に魔法を使って貰った方が良さそうだ)
「レベッカくん。
宗谷の問いに、レベッカは頷くと、震える手で
「……ま……まを、魔を、抗う力と成れっ。
途中、詠唱をつっかえながらも、何とかレベッカは魔術を完成させた。杖が輝くと、宗谷たち五名の身体に淡い魔力による防護幕が包み込む。
魔法に対する抵抗力向上。レベッカの魔術の腕を考えると、効力は気休め程度かもしれないが、当然無いよりははるかに良い。
詠唱を終わり、ふらつき倒れそうになるレベッカを、ミアが片手で支えた。レベッカに余裕があれば、武器を強化する
「レベッカくん、ありがとう。後は、光源操作だけお願いします。……それと、
宗谷はレベッカから、
宗谷もいずれ何処かで
「ソーヤ。どうする?」
「勿論、
メリルゥは頷いて
「
砦の入り口の扉と同じように、
レベッカが、礼拝堂の中に向けて、
魔法の明かりにより、礼拝堂の中が照らされた。内部は砦に備えられたものらしく、煌びやかさは無く無骨な造りをしていた。
床には儀式の陣。
(この匂い……死臭か)
宗谷は鼻を抑え、レベッカから借りた
そして、中央にある
「……ミアくん。レベッカくんの傍に。来てはいけない」
宗谷が横目で見ると、メリルゥは
仰向けに横たわる者のうち一人。一際目立つ品の良さそうな金髪の持ち主。勇者ランディの喉元には、
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