14.冒険者等級について
「ソウヤさん。まず、お話を始める前に。冒険者について、どのくらい御存知ですか?」
「ある程度はミアくんから話を聞いています。冒険者
「大まかな流れはそうなりますね。話が早そうで助かります。では、そのつもりで話しますね」
宗谷は二〇年前、冒険者として活動してたので大体冒険者
「最初は
「
早速、二〇年前との変更点が出てきた。ルイーズの言う
「ええ。ごめんなさいね。冒険者も昔と比べて質が落ちてきているので。だからこういう仮免許の
「しかし白紙とは。金属類では無いんですね。どうして紙なんでしょうか。もしや、ペーパーとぺーぺーをかけてらっしゃるんですかね」
宗谷は適当に思いついた、親父ギャグを言った。
我ながら下らないと、宗谷は言った事を後悔したが、予想に反してルイーズは、ほんの少しの笑みを浮かべていた。
「あは、やだ、ソウヤさん、勿論違いますよ。まあ、ペーペーというのは確かにそうですね。……冒険を志す
「──なるほど。数回の依頼で辞めた者は、
「そうですね。思ってたのと違うとか、命のやり取りが怖くなったとか、実力不足を悟ったとか、理由は様々ですが。いずれも冒険者としての適性が低かったという事に違いはありません。そういった冒険者未満の方々にも、
ルイーズは席を立つと、奥にある引き出しから一枚の記入用紙を取り出し、宗谷の目の前に置いた。
「
「なるほど、お手軽に作れてコストもかからない。一石二鳥と」
「ええ。
「なるほど、
「ええ。それすら在籍者数十名の狭き門です。実際は
「ルイーズさん、終わりました」
「確認します……はい……ええ、特に問題は無いかと。ソウヤさん、お疲れ様でした」
ルイーズは一通り記述に目を通すと、宗谷の名前と職業がサインされた部分の上から、冒険者ギルドの証明印を押し、続いて鋏で四角形に切り離した。
「はい、仮免許です。一応、
「了解です。ははは、流石に紙は
宗谷は紙で出来た仮免許を指で掴み、もてあそぶと、ビジネススーツの胸ポケットにしまいこんだ。
「
「
「ああ、なるほど。わかりました。今すぐ不要なら助かります。また借金を重ねる羽目になる処でした」
宗谷は安堵した。いきなり銀貨五〇枚が必要というのは、ミアの勘違いだったようだ。ただ、必要になる事は間違いないので、その分も費用として頭に計上しておかなくてはならないだろう。
「後は一応、
「まあ、仮免許と聞いて、そうだろうとは思いました。
「ソウヤさん、
ソウヤとルイーズの会話を見守っていたミアが、ようやく出番が来たとばかり、二人の会話に入ってきた。
「ミアとソウヤさんが組むのであれば、パーティーとして成立してますね。少人数向けの最低限の依頼は提供出来ます。……ただ、二人でも構わないとは思うけど、パーティーのバランスが問題かしら?」
「……えっと、ルイーズさん、何か問題ありそうでしょうか」
バランスについて言及するルイーズに対し、ミアが不思議そうな表情を浮かべる。
「ミア、貴方は
「ルイーズさん、ソウヤさんは前に出ても、とても強いです。野盗の集団のほとんどを素手でやっつけていました」
ルイーズはミアの言葉を耳にすると、一瞬にして笑顔が真顔に変わり、咄嗟に手前に座っているソウヤの手を取った。
「……嘘。私が実力を見誤るなんて。その話、本当なのかしら?」
ルイーズは驚いたような表情で、じっと、宗谷の開いた手のひらを見つめている。その様子を見て、ソウヤは目を細め、薄い笑みを浮かべた。
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