ジェニーの心配事
ジェニーと魔王バイドが、会議室の部屋に2人が居た・・・
この場所に居る理由は、ジェニーがバイドに聞きたい事があった為、わざわざ、ここに連れ出したのだ・・・
そして、その連れ出した本人であるジェニーが口を開いた・・・
「すみません、戦場の準備に忙しい中呼び出して・・・」
「構わん・・・こうやって、呼び出すという事は、重要性が高い用件なのだろう・・・話せ・・・」
そう言われて、ジェニーはここに呼び出した用件を話した・・・
「・・・私は、今回の戦争・・・一筋縄ではいかないと思っています・・・」
「・・・それは何故だ・・・」
「それは、貴方だって解っているでしょう・・・今回の戦、完全に神が人間側に協力しています・・・その為、今、貴方には、神の加護が、全くない状態・・・いくら、神と敵対してきたとしても、神の加護が0という事は、今まで一度も無かった・・・なのに、今回は・・・その加護が魔王様には全くない・・・」
そう・・・魔王様にも、本当なら、神の加護が与えられる・・・
魔王と勇者・・・魔族と人間・・・神はどちらかの勢力に肩入れをしたりはしない・・・強力な力を持つ、魔王にも神の力はある程度与えられる・・・
そうやって人間と魔族との力のバランスを保ってきたのだ・・・勇者が弱ければ、神の力は弱い勇者に多く与えられ、魔王が強ければ、その分、神に与えられる力は弱くなった・・・
・・・だが、今・・・バイドに与えられていた神の力・・・いや、魔王の力は完全に消えているのだ・・・
そんな事は今まで一度も無かったというのに・・・
魔王の紋章・・・それは、魔王様が、魔王の力を持っている証であり、その紋章がきちんと浮かんでいれば浮かんでいる程、その力を行使することが出来る・・・
だが、今、バイドの所に、魔王の紋章は無い・・・消えて無くなってしまったのだ・・・
・・・確かに前から薄くはなっていた・・・神と敵対をした時・・・その薄さはさらに顕著になった・・・
・・・だが、紋章が完全に消えるという事は今まで一度も無かった・・・
それが今回、完全に消えたのだ・・・
・・・これは、神自身今回の戦争で魔族側には手を貸さないという意味合いが強いと私は考える・・・
ハールの勇者の紋章は、バイドと結婚した時に消えた・・・
・・・魔族に手を貸す者を勇者と認める訳にはいかないという神自身の意思なのだろう・・・
そんな、魔族と人間との手を取り合う事を認めない、神に対し、私は反吐が出た・・・
・・・しかも、一度神と会って対話した身としては、紋章が消えたことにより、神の拘束から解き放たれたと考え・・・喜ばしいと思う気持ちが強い・・・
・・・だが、一度神と対峙し、圧倒的な力を目の前にした・・・私は・・・その力が、人間に与えられた時・・・どこまで人間が強化されるか解らないと思った・・・
しかも、こちらは、完全に神の力はもちろん、下手をすれば、魔王の力すら使えない・・・そんな状況で闘って果たして大丈夫なのだろうか・・・
「おいおい、心配のし過ぎでは無いか?勇者と言えど、我は何度もほおむってきたでは無いか?例え、魔王の力が無くなったと言っても、人間なんぞに後れを取る吾輩では無い!!」
「ですが・・・」
「それに、我が軍の倍の人数を持ってきたと言っても、たかが人間・・・ドラゴンや竜が居る吾輩の軍が負けるはずが無い!!」
確かに、ドラゴンや竜を倒すには、数十倍、下手をすれば数百倍の戦力が必要だ・・・だが・・・
「もし、神が降臨してきたら・・・」
どうしても、考えてしまう・・・最悪の事態を・・・・もし、万が一、あれだけの力を持った神が、私達の目の前に現れでもしたら・・・恐らく、私達は一瞬で敗北をしてしまうであろう・・・
「降臨の儀式さえ行わなければ、神自身この世界に来ることは出来ないとお主自身言ってたではないか・・・」
確かに、神は降臨の儀式をしなければ、この世界に来る事は出来ない・・・第一、降臨の儀式で現世に来たとしても、ほとんど力を持ってこの世界などにこれはしない・・・
だが、そのほとんど力を持っていない状態で、あの神は私達を圧倒してみせたのだ・・・
それに、神の降臨をしなくても、今回は神の力の恩恵を全員が受けている・・・
その恩恵の具合は恐らく、今までの比ではないであろう・・・私がその事を言うと・・・
「大丈夫だ・・・今までだって、神の力は勇者の方が途轍もなく強く貰っていた・・・その上で私はその勇者達を倒していたのだ・・・前からほとんど貰っていなかった神の力が0になった所であまり変わりはせん!!」
そうバイドは言った・・・だが・・・
「・・・だけど、相手が予想以上の戦力だった場合は・・・貴方だって神の力は知っているでしょう・・・・」
どうしても、考えてしまう、最悪の展開・・・どうしてもその事が頭を離れない・・・
「・・・もし相手が予想以上の戦力だった場合・・・どうするというのだ・・・?」
そうバイドが言って来た・・・だから私は・・・
「軍全体の撤退戦は考えないのですか?」
と聞いた・・・もし、万が一、相手の戦力が私達が考えている以上だった場合、その事も視野に考えて、作戦を練らなければ・・・そう思い、私はバイドに提案をした・・・だが・・・
「考えていない・・・!!」
バイドはその考えを否定した・・・
「・・・第一、逃げてどうする?あの防衛線を超えてしまえば、すぐ街だ・・・それに、城自体、街が落とされればすぐ近くにある・・・逃げ場所など、最初からありはしない・・・」
・・・確かに、いきなりの人間達の出兵達に対し、私達は余り戦争の準備の時間を取れなかった・・・
その為、兵士の移動する距離や準備をする時間を考慮して、街や城の近くに防衛線を引いてしまった・・・確かにバイドの言いたい事は解る・・・だが・・・
「・・・ですが!」
だが、どうにも不安が消えない私はなお食い下がる・・・
「・・・・解ってくれ・・・・ここで食い止めなければ・・・さらに被害が拡大するのだ・・・・」
そういわれてしまっては、それ以上追及する事は出来なかった・・・
「解りました・・・」
私は仕方なく、そう言って、身を引いた・・・
本当は、ロイドについても、話もしたかったが、バイドの意思は固いようで、私が何を言っても変わらないだろう・・・
ああ・・・出来れば、何事も無く、戦争が終わってほしい・・・
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