第2章 戦場の中で 戦争準備

学園に入学して一年が経った・・・学年も一学年上がった・・・


まあ、俺自身、学園に余り、馴染めなかった事もあり、友達が出来なかったが・・・それでも、俺は、それなりに学園生活を楽しんだ・・・


学園での始めてのイベント・・・武闘大会以外にも、学園祭やギルドの見学・・・


それなりに、様々な経験をした・・・前世の世界との相違点・・・城に居ただけでは、知らなかった事、解らなかった事・・・


それらが、色々知ることが出来て・・・


それなりに、俺自身の学園生活は充実していた・・・・


だが、その平和な日常も・・・ある日突然終わりを迎えた・・・


・・・人間達との戦争が・・・始まろうとしていたのだ・・・


・・・それは、本当にいきなりであった・・・


・・・俺はいつもの様に学校に行く為に朝食を食べに食堂(そう表現するくらい、この家の食べる所は広い・・)、父上がいつもの様に席に座っていた・・・・


いつもの光景、いつもの食事を朝食をとる風景・・・そのはずなのに・・・父上の顔は今まで見たことが無い位、強張っていた・・・


俺がどうしたんだろうかと思って首を傾げていると・・・


「朝食の後、話がある。」


と父上に言われた・・・


・・・その時取った朝食は・・・父上の緊迫した様子の中、食べたのだが・・・かなり雰囲気が重苦しく、味が全く分からなかった・・・


そんな地獄の様な、朝食を食べ終わった後・・父上は語り出した・・・何故、こんな風に父上が緊迫しているのか・・・


そして・・・俺に何を言いたいのかを・・・そして、それは、俺の平和な日常が壊れる時でもあった・・・


――----------------------------------


・・・今、魔族の領土の中に、人間達が侵略している・・・そう父上が静かに言った・・・


しかも、侵略している人間の中に、人間側の勇者が来ているという事も・・・父上は話した・・・・


「えっ・・・?勇者は母上では無いの?!」


と俺が聞いたが、何でも勇者の能力は既に母上から無くなっており、別の人に、勇者の能力が受け継がれて、代替わりをしているらしく、その代替わりをした勇者がこちらに向かって進攻している事を言って来た・・・


・・・そんな簡単に勇者って代替わりするものなの?!


頭の中で突っ込みをしたが、それで、現状が変わる訳でもなく、とりあえず、父上の話の先を聞くことにした・・・


何でも、こちらの領土に進攻しているのは勇者パーティーだけでは無く・・・兵士も10万程来ていると父上は言って来た・・・


しかも、父上が言うには・・・


「・・・我が今すぐ準備できる兵士は5万が限界だ・・・」


と言って来た・・・しかも勇者だけでは無く、人間達の兵士、10万全てにも神の加護が付いているらしい・・・


・・・えっと、何そのチート・・・えっ何で?!そうなっているの?!俺達神様に何かした?!


「・・・今回完全に神は敵に回っている・・・恐らく、神はこの世界の魔族達を全て目の敵にしているのだろう・・・」


・・・えっ何で?!そうなっているの?!魔族を目の敵って・・・


「・・・すまない・・・俺は一度、神を召喚した事がある・・・その時に、目の敵にされたのだろう・・」


「えっ・・・?」


その言葉に目が点になる俺・・・何でも、かなり昔に、ジェニーと協力して、神をおろした事があったらしい・・・


その時は、勇者と魔王のシステムに父上自信疑問に思っていたらしく・・・その是非を聞きたくて、召喚したらしい・・・


結果は・・・神の怒りを買い・・・罵声罵倒を受け・・・現在の様な、対立関係になってしまったらしい・・・・


ただ、父上は、人間と魔族と仲良くできないのか・・・それを神に聞きたかっただけなのに・・・・


「・・・そういう訳で、今は完全に神は人間の味方をしている・・・もはや、戦力もいっぱいいっぱいな状況・・・一人でも戦える者は、戦場に行かなくてはならない・・・」


そう言って、父上は、溜息をつきながら・・・


「ロイド・・・お主も戦場に来てくれないか・・・」


そう言った・・・


まじですかあ・・・まだ、俺、6歳何だけど・・・もう戦場に出るのかあ・・・前世も含めて戦場何て出たこと無い素人なんですけど・・・俺行って足手まといになりませんか・・・?


「大丈夫だ・・・・神の加護と言っても、勇者程、加護が強いわけでは無い・・・5万の兵士と言っても精鋭たちが出るのだ・・・ある程度は闘える・・・だから、ロイド・・・お主は、戦場に来るだけで良い・・・・」


いや!戦場に来るだけって・・・それじゃあ意味が無いんじゃあ・・・


「戦場を見て・・・知ってほしい・・・理不尽に命が失われる様を・・・そして、考えてほしい・・・何故戦争で魔族と人間両方が死んでいかなくてはいけないかを・・・」


そう言って、父上は、目を伏せた・・・


奇しくも、それは、フェンの昔話を聞いた時に感じた疑問であった・・・


父上のその言葉に、俺は、ただただ、頷く事しか出来なかった・・・


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


それから、しばらく経って、戦争の準備をしている最中、俺は母上に呼び止められた・・・


「・・・・・・戦争なんて行かなくていいのよ・・・もしもの時は、私がお父さん説得してあげるから・・・ね?」


そう母上が言って来た・・・・だが・・・そう言われても、俺は、戦争に行かないという選択肢は選べない・・・


だって、俺は、フェンの昔話を聞いた時に感じた疑問の答えを・・・まだ出していないのだから・・・それに・・・


「・・・ごめんなさい、母上、俺はどうしても、戦場に行かなくてはいけないのです・・・・」


「どうして・・そんな事を言うの・・・?戦場何て行っても、ただただ、人間達と魔族との殺し合いをするだけじゃない・・・どうして、そんな所に・・・」


「・・・色々理由はありますが・・・今の一番の理由は俺に力があるからです・・・!!」


そうはっきり母上に言った・・・そう、今の俺には力がある・・・前までは勘違いをしていたが、今の俺は魔王である、父上とある程度闘えるまで強くなっている・・・


この力がどこまで通じるか解らないだけど・・・・


「・・・この力がどこまで通用するか解らないけど、それでも、皆を守れる可能性があるのなら、守りたい・・・・」


そう、フェンの話を聞き、フェンの両親の様な戦場で死んでいく人達を少しでも減らしていきたい・・・


偽善かもしれない・・・替わりに人間を殺してしまうかもしれない・・・だとしても、力があるのに、何もしない何て・・・俺には選択が出来なかった・・・・


「・・・どうしても行くの・・・ロイド・・・」


今にも、泣きそうな声でそんな事を言う、母上に、俺は・・・


「・・・・大丈夫だって!危なくなったら逃げるから!!」


母上に心配をかけない様に元気な声を出し、笑いながらそう言った・・・


そうすると母上が俺を抱き抱えて来て・・・


「絶対に帰ってきて・・・」


そう呟いた・・・・


あのー、母上・・・俺、精神年齢は同い年なんですけど・・・ちょっと恥ずかしいかなあって思うのですが・・・・


・・・そんな事もこの状況では何も言えず、結局母上が満足するまで、なすがままな状態が続く俺なのであった・・・

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