ロイドの最後

上手くいった・・絶対神と相対した時・・創造神が作った、封印を使おうと一瞬脳裏に浮かんだが・・・天智の書・・・この存在が足かせになった・・・この世界に降り立った時、恐らく、絶対神は俺の知識を全て、天智の書で手に入れてしまった・・・


・・・恐らく、絶対神には創造神が作り出した封印は通じない・・・天智の書で封印の仕組みはバレているだろう・・・だから、俺は、リイムが先見の目のスキルで天智の書が効かないよう調整した時に、頭の中で絶対神を封印する術式を1から作り出した・・・・


封印場所は、この魔界・・・封印方法は、神自身の力と魔界に充満している感情エネルギーを使わせてもらった・・・魔界は創造神達の世界の感情エネルギーが集められるよう、絶対神が調整している・・・それだけの力を保持している魔界のエネルギー・・・そして、それを取り込んでいる絶対神・・・封印をする為の条件は整っている・・・


先見の目で、絶対神が俺を所定の位置に飛ばす様に誘導した・・・防御、避ける事、それが出来なくとも、そういう素振りをみせるだけで、彼女は誘導出来た・・・本当なら、魔物達をけしかけられていたら、先見の目をもってしても、そんな風に誘導する事は難しかっただろう・・・


・・・恐らく、絶対神はこれだけの力差がある為、魔物達を使う必要性を感じなかったのだろうおかげで、絶対神一人だけに集中することが出来た・・・


ただ、魔物達が邪魔をしてこないのは良いが、魔物達に対する封印はどうすればいいだろうか、問題は、一匹でもこの世界に残してしまってわ、それだけで、世界の破滅に繋がってしまう程強大だ・・・魔物達が絶対神の近くにいれば、絶対神の封印に合わせて、世界の感情エネルギー、絶対神自らの力を使い・・・封印できるだろうが、そこまで調整する余裕等今ある訳が無い・・・


そんな事を考えながらも、俺は先見の目で飛ばさせた場所にこの世界の感情エネルギーを彼女の封印に使われるように術式を刻み込んだ・・・


この場所を選んだのにも理由がある・・・魔界全体を魔法陣とし、最後に俺を止めを刺す場所を中央に設定して封印の強度を強くする・・・止めを刺す場所は、先見の目で見えている・・・絶対神がスキルの干渉をして間違った情報を見させているのなら別だが、あれだけ油断をしているのだ、間違いは無いだろう・・・スキル通りなら、恐らく勇者達が居る場所にするはずだ・・・


魔界に術式を組み込む・・・本来なら絶対神が管轄している世界・・・難しい所か無理な事だが、魔界に召喚される前、色々魔界について研究はしていた・・・ハッキングはお手の物だ!!


戦闘の間に、魔界に術式を組み込んでいる間にも、彼女自身の身体にも、同じような術式を施して封印の強化をしている・・・自身の力が逆流する様に・・・絶対神の力がそのまま封印の要になる様に調整しながら、封印の魔法を施した・・・


かなり難しい方法だったが、こちらも、向こうが油断していたおかげで、バレずに施すことが出来た・・・いつやったかって?攻撃された時、一瞬接触するだろう?そんな機会は沢山あった・・・だからこそ・・・成功した・・・・逆に言えば、力の差が極端にあった為に成功した策とも言えよう・・・


そして、術式を組み込む際、やつの身体に侵入した際、解った事がある・・・あの魔物は、絶対神と連動している・・・・だからこそ、やつが力を取り入れた際、周りの魔物達も合わせて強くなったのだろう・・・普通なら厄介だが、これなら、その繋がりを利用して、連鎖的に魔物達を封印できる・・・


とは言え、これだけの数だ・・・絶対神と同じ場所に全部は封印できない・・・・・バラバラに封印するしかないだろう・・・


俺は、絶対神に飛ばされながらも、先見の目を使い・・・魔物達を封印できそうな場所を目星をつけていった・・・そして・・・最早、力がほとんど入らなくなってきた頃・・・


先見の目でみた通り、最初に召喚された場所に来てくれた・・・先見の目が上手く動いてくれていなければ、この策どちらにしても、上手くいかなかっただろう・・・本当にうまくいって良かった・・・


この場所を基準に魔界全体に術式を組み込んだから、来てくれなかったら、失敗をしていた・・・


だが、問題は、最早、俺自身、力がほとんど残っていないことだ・・・もう少し残る者だと思っていたが、死なない様に誘導する為に力を使い過ぎた・・・これでは、封印の起動に時間が掛かってしまう・・・


すると、何を考えだしたのか、絶対神はニヤリと笑みを浮かべ、数百の魔物達を転移させ始めた・・・


恐らく、魔物達を転移させて、俺の絶望する顔を見たかったのだろうが・・・その転移させる為の一瞬の時間・・・それさえあれば、封印を起動できる!!


そして、最後の魔物を転移させ終わったころ、俺は封印を起動させた・・・


「いい夢見れたか?くそ野郎・・・・」


彼女の周りが光り出す・・・彼女が暴れているが、無駄だ・・・お前が力を出そうとすればするほど、魔界にあるエネルギーを取り込もうとすればするほど、封印される速度が速くなる・・・・


他の魔物達も上手くいった様だ・・・彼女の封印に連動して、魔物達に対しても、結界の魔法陣が浮かび上がっている・・・


後は、自身の精神を贄に・・・封印に蓋をするだけだが・・・・


・・・最後に彼女を戻さなければ・・・・俺は、ボロボロな身体から最後の力を振り絞りだした・・・この封印は、魔界の感情エネルギーと彼女自身の力で封印されるように調整させてある・・・だから、俺自身の力は必要ない・・・


まあ、その為の調整する楔である精神は必要不可欠なのだが・・・・・そんな、生贄は俺一人で十分だ・・・・・・あれだけの数の魔物も一緒に封印しなければいけないのは不安だが、一か所では無く、分散せて封印を施せば、上手くいくはずだ・・・


俺は・・・最後の力を振り絞り・・・1つの入れ物・・・身体を作り・・・リイムをその中に入れる・・・


「えっ・・・?」


何とか上手くいったか・・・リイムを完全に取り込まない様、制御しながら闘っていたが、本当に分離で着て一安心だ・・・身体も、本契約しなくとも安定出来る様に最後の力を使い一から作り出した・・・


「お前・・・まだ、俺より生きていないだろう?もっと世界を楽しんで来い・・・・」


そう言って、俺はリイムとの本契約を解除する・・・そして、急いで封印の蓋をする為に、身体と精神を分離させる・・・急がなくては、本契約を解除した今、俺は最早神人では無いのだから・・・


「ちょっと待って!!ロイド!!!!」


神人では無くなったが、絶対神を封印する楔になるのには十分だろう・・・何しろ、封印の根源は彼女自身の力と魔界の感情エネルギーなのだから・・・・必要なのは、自らの精神力のみ・・・


俺の精神が持つ限り、絶対・・・絶対神は外には出さない・・・そう・・・悲劇の根源であるこいつは・・・絶対に・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る