ロイドとリイム

「お前何しているんだ?」


「?お手玉・・・・」


私はロイドにそう言った・・・今、私達は、ロイドと一緒に異空間を作り出して、そこで、修行をしている・・・私が作り出したこの空間は外の世界と時間の流れが違う為、時間を気にせず、鍛えることができる・・・


ただ、ここでずっと修行だけをしていると暇になってくる・・・今も、ロイドの休憩かてら・・・ロイドの記憶から、遊びの記憶を抜き出し、その中で行える遊びをしている・・・魔力の球をお手玉の玉に見たててやっているが、なかなか面白い・・・


ロイドには、記憶を勝手に見るなと言われたが、私とロイドは本契約で一心一体になっているのだから、私の記憶でもあるはずなのに・・・・何が気に食わないんだろうか?


「・・・ちなみに、何個回しているんだ?」


「50個」


そういえば、面白いという気持ちも、ロイドと契約して初めて感じるようになった感情だ・・・興味がある、興味がないというのはあったが、何かを楽しむというのはロイドと本契約してから感じるようになった・・・


前は天智の書で何もかも解って、何も興味を示さなかったのに・・・


おそらく、ロイドの感情すらも本契約によって混ざっていっているのだろう・・・私はまっさらの状態だったから・・・ロイドの感情の起伏がダイレクトに感じる・・・・・・


だからこそ、解ってしまう・・・彼が今、必死になっていることを、必死になって強さを得て、皆を・・・人間を含めた人々を救おうとしているのを・・・・


「・・・すごい、スピードで・・・・半径10m位の輪を作りながら回しているけど、大変じゃないの?」


「?全然」


前は何も感じなかった、世界の戦争も・・・ロイドと本契約し・・・彼の感情を感じるようになって、感じ方、考え方が変わった・・・今ならこう言える・・・ロイドの為に戦争を無くしたいと・・・私はロイドの悲しみの感情を感じたくないから・・・


一度、私はロイドにこう言ったことがある・・・私を完全に取り込めば、簡単に更に強くなれるよと・・・・


怒られてしまった・・・何で自分を大事にしないのかといわれてしまった・・・解らない・・・私はリイムという名前をもらったけれど、本体はロイドだ・・・いるべき場所に戻って何が可笑しいのだろうか?


「・・・なあ、結構な時間回しているけど・・・飽きないの?」


「??楽しいよ?」


まあ、色々な感情を感じれる今を楽しもう・・・ロイドと一緒になったら、ロイドの感情はいつも感じれるけど、自分から感じたり、考えることはできなくなってしまうから・・・・


・・・・・・次何しよう・・・


-----------------------------


俺はロイド・・・今俺はリイムの扱いに困っている・・・こいつとの出会いは、母上から強くなれるかもしれない・・・そう言われて、連れられた森で出会った・・・そこで、俺はリイムと戦い、認められ、契約をしたのだが・・・・・・こいつの考えていることが全くわからん!!


何か、戦いで倒れて目を覚ましたら、勝手に契約されていて、名前を求められ、何だか、よく解らない空間にいた・・・なんでも、俺はリイムとの戦いで死にかけていたらしく、本契約というもので生き永らえたらしい・・・リイム曰く、勝つならきちんと勝ってくださいと言ってきたが・・・そんな余裕なかっただろうが!!本当によく勝てたよ・・・・


しかも、名前を付けたら、いきなり光りだして・・・何だよ・・・女性になりましたって・・・名前を付けるだけで、性別まで変わるのかよ!!・・・ふう、少し落ち着こう・・・


それで、この解らない空間なのだが、何でも、リイムが作り出したらしく、外の世界と時間の流れが違う為、長い時間修行ができるらしい・・・・時間を操る魔法ってジェニーですら使えなかったはずだけど・・・・・まあ、いいや・・・とにかく、魔法の使い方、闘気の使い方、後、リイムと契約することで使えるようになった、神気という力の使い方を覚えている・・・なんでも、俺、神人という人知を超えた人種になったらしく、それで、その力が使えるようになったらしい・・・


・・・まじかよ・・・・・人種まで変わっちゃったよ俺・・・・・・・まあ、俺が望んだんだから、強くなるのはいいんだが・・・問題はリイムだ・・・・あいつの行動が予測できない!!


この空間、リイムの気分次第で割となんでも作り出せるのだが・・・俺がふと何か食べたいなあ・・・と思った時があった、神人は食べなくても大丈夫な種族らしいのだが、閉鎖空間で娯楽がないこの空間、何か食べ物を欲するのは可笑しくもないだろう・・・その時、せっかくだから、刺激があるものが欲しいなと思うのも、訓練ばかりの生活を過ごしているのだから、そう思っても可笑しくはないだろう?


そんな事を思っていると・・・リイムが何かを取り出してきた・・・ハバネロだ・・・しかも単体で・・・


「だってロイドが刺激がある食べ物が欲しいって・・・」


刺激がある食べ物だが、それ単体では食わねえよ・・・それに、刺激があるものが食べたいって、口には出していないよな・・・思っただけで・・・


「?ロイドの思考や考えている事・・・感情も含めて本契約した私にも伝わるけど?」


何?その情報?!初めて聞いたんだけど?!


「?私とロイドは一心一体だから、別に構わないでしょう?」


「そんな訳あるかあ!!」


・・・その後も、わざと空間の温度を下げて、寒い中でかき氷を食って・・・頭痛いと言ってきたり、逆に温度を上げて、熱い鍋を食って・・・暑いと言ってきたり・・・いきなり雪を降らせて、スキーをしたり・・・結構リイムは好き勝手にやっています・・・


果ては・・・完全に俺の身体にリイムを取り込めば、強くなれるよ・・・という、いきなり自身の事を全く考えないめちゃくちゃな案を出したりしてきます・・・リイム冗談でもそんなこと言うなよ・・・


そんな考えが読めないリイムだが、わがままを一度も聞いたことがない・・・やりたい事は、自分で勝手にやるし、俺が欲しいものがあったら、ちょっとズレているがその物を準備したり、自分の存在すら捧げようとする彼女だが、自分から、お願いをしたことは無かった・・・


口調が大人びて解りづらいが・・・確か、母上の言葉では、外の世界でリイムは一年も生きていなかったはずだ・・・・・・確かに、突拍子もない行動をするのは、子供特有の行動だな・・・だけど、甘えるという行為はあいつはしてこない・・・・ふと、たまに頭を撫でたりするが・・・ただ、彼女は首を傾げるだけだ・・・喜んだり、笑ったりという感情を表に出さない・・・


本人が楽しいとか嬉しいといった時も、彼女は笑ったりしない・・・本当に彼女の考えている事が解らない・・・ただ・・・一つだけわかることは・・・・


「ロイド・・・・辛いことがあったら何でも言って・・・」


「お前!俺より年下だよな!!」


こいつは敵で無いってことだ・・・


-----------------------


「むぐむぐ・・・」


『・・・・のう・・・そろそろ食べるのは止めにしたらどうじゃ・・・』


私とロイドは今、別の世界の神の世界にいる・・・天智の書によって、この世界と、元居た世界の神達が戦争を怒っている情報をひろい・・・戦争によって重なっているこの世界に救援を要請しに来たのだ・・・まあ、私達の元神とも戦争中だから、私達も手伝いはするつもりだけど・・・


ロイドは今、創造神と戦闘訓練をしている・・・かなりの力の差があるが、そこは、ロイドだ・・・その差をどんどん縮めている・・・私との訓練の時も、成長スピードはすごかった・・・天智の書で有利に立っていたはずが、気づいたら、負けていたなんてもう数えきれないほどだ・・・


そんなロイドに報いる為に、私は今、天智の書に代わるスキルを作り出している、天智の書は向こうの世界の事だけしか記載されていないし、何より、向こうの神が管理しているスキルだ、敵対している現状、このスキルに頼りっぱなしではいけない・・・


少し性能が落ちたとしても、代わりになるスキルを作り出さなければ・・・・作れるのかなあ、あれだけの高性能なスキル・・・性能を落としたとしても・・・・


「むぐぐむぐむぐ・・・」


『そこまで疲れないといっても、無限に作り出しているのは、それなりに疲れるのだぞ・・・・しかも今、ロイドと訓練して居るし・・・こやつどんどん強くなっておって、その中で作るのも・・・・のう・・・』


ロイドだって・・・1から魔法や技術を作り出しているんだ・・・私だって・・・お菓・・・スキルを作り出して見せる!!


とはいえ、どうしようか・・・まず、天智の書のスキル・・・向こうが管理しているから詳しくは見れないけど、ある程度どういったものかは、予想がつく・・・だが、今試作として何万のスキルを作り出しているが、中々納得いくものができない・・・天智の書に頼りすぎていた所為か・・・うまく作れない・・・


「むぐむぐむむむぐぐぐ・・・・」


『・・・・・・・・・本当に聞いておらんのじゃな・・・・・』


創造神が念話で何か言っているが・・・気にしないでおく・・・とにかく、早く作らなければ、ロイドが実際に使う練習もしなければならないのに・・・・・


・・・・・・それにしても、この創造神が作ったお菓子はおいしい・・・ひと段落がついたら・・・お菓子の成分とか覚えておいて、後で自分でも作ろうっと♪


・・・・・おいしいのがいけないのです・・・・


-----------------------------


「どうした・・・もう終わりかのう?」


「まだまだ!!」


俺は今、創造神と一騎打ちをしている・・・リイムと一体化なしで・・・いやいや・・・本当にどうしてこうなった・・・?


事の始まりは、笑いの神と知識の神を納得がいかないまま、送り出して、その後、来る神卸の日に備え、訓練しようとしたら・・・・


「我と訓練をしないか?」


と言われた・・・えっいきなり創造神と?創造神ってこの世界で一番偉いんでしたよね?普通それって、配下の神様がやるんじゃ・・・


「他の神は、前線か世界の管理で忙しい、いくら干渉がほとんど出来なくなったとはいえ、完全に放置は出来ないからのう・・・」


そうですか・・・えっまじで創造神と・・・?結局その日から、俺は創造神と訓練をし始めた・・・とは言え、いつ神卸で魔界に行くかわからない現状、実戦形式でやる必要がある・・・・・だからと言って、いきなり初日から、一騎打ちって・・・それからしばらく日にちがたっているが、未だに勝ち筋が見えない・・・リイム何てお菓子を食いながら、観戦しているだけだし・・・


ふと、リイムを見る、相変わらず、頬を膨らませてお菓子を頬張っている・・・天智の書に代わるスキルを作るって言っていたが、本当に作ってるんだよね!!


「よそ見をしていていいのかのう?」


そんな声が聞こえ、慌てて攻撃をよける・・・くそう・・・というより、リイムキャラ変わりすぎだろう・・・初めて会ったときは、感情の起伏がない感じで、戦闘になって初めて感情の変化があったくらいだったのに・・・今じゃ、お菓子を頬張っている食いしん坊キャラだし・・・


本当にどうしてこうなった?!


「ほっほ、注意喚起しているのによそ見とは余裕じゃのう・・・」


「ああ・・・・もう!!本当にどうしてこうなった・・・」


俺はそうぼやきながらも・・・創造神に突っ込む・・・・


―――――――――――――――――――――


ちょっと不思議で・・・だからこそ、飽きる事が無くて・・・そんなリイムだからこそ・・・・俺は・・・・今まで・・・・頑張ってこれた・・・・・・・・・だから最後は・・・・・・・・・・絶対に・・・・

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