計略

「・・・つまり、神自身を贄に魔界と神の世界を繋ぎ・・・繋いだ瞬間、魔界とこちらの世界を分断させる結界を作り出し、向こうの神も手を出せないようにするという事ですか・・・?」


「フホホホホ!!その通りじゃ・・・もっと詳しく言えば、お主には魔界に降り立ってもらい、出来れば、魔王も退治してもらいたい・・・恐らく、魔王が存在しておれば、あの魔界は敵側の神が居なくなっても消滅せず・・・・下手をすれば、長い年月をかけて、結界自体を何らかの方法ですり抜ける可能性もあるからのう・・・」


そう、事も無く言ってくる・・・俺はロイド、この世界とは別の神が作り出した世界からやって来た神人だ・・・まあ、厳密には魔族と人間のハーフだから、呼び方は本来は違うかもしれないが・・・


俺達は俺達の居た世界の神々と対立、俺達の世界の保護を頼む為ににこの世界にやって来た・・・


そんな訳だが、今この世界の神と元々居た世界の神が戦争の真っただ中にある・・・まあ、戦争で起きた世界の重なりを利用してこちらの世界に来たのだから当たり前なのだが、こちらとしても、神と対立しようとしていた身、渡りに船だが・・・


改めて、作戦を思い出す・・・今この世界は魔界の出現により、神々の干渉が制限されている・・・その干渉を可能にする為に、現地の人間を送り込み、神々の干渉が出来る様にする・・・2人の神々を犠牲にして・・・それがこの作戦の概要だ・・・・


「・・・・本当にこれしか方法が無いのですか・・・いくら何でも、神々を贄にすると言う方法は・・・・」


「・・・・・・・・・・もはやこれしか無いのだ・・・向こうの制限はかなり強力・・・加えて、我ら神々の世界にも兵を差し向けている・・・もはや一刻も猶予も無いのじゃ・・・・」


そう言って、創造神は悲しそうな顔でそう言った・・・神も断腸の思いだったのだろう・・・そう思うと、これ以上言葉はかけられなかった・・・・


「では・・・これから、送り出すわけだが、最後に会ってはくれないか?覚えてくれる人が少しでも多ければあやつらも、少しは浮かばれるはずだ・・・」


「・・・解りました・・・俺としてもその神々とは会っておきたかったですから・・・」


そう言うと、目の前が光り出した・・・恐らく、元々会わせる予定だったのだろう・・・すぐに、目の前にその2人は現れた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


うん・・・一人は解る・・・女性で杖を持っていて、魔法使いと解る風貌・・・恐らく、人間世界に溶け込める様に服装を気を使ったのだろう・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・問題はもう一人だ・・・ヒラヒラのスカート・・・半袖を更に短くして、脇まで見えるシャツ・・・・・・どう見ても、チアガールにしか見えない衣装で、立っていた・・・・男が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・・・・・・・・・・すみません、この人は・・・・・・・」


そう言って、チアガールの人に指を指しこういう・・・失礼かもしれないが・・・俺には何か思考する余裕すらなかった・・・・


「グハハハハハ!!我は笑いの神だ!!ダールとでも呼んでくれ!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この人が神・・・・?いや神って言ったらもっと神々しい者がなるものだろう・・・例え人間に化けるにしても・・・・チアガールの姿でこの場にやってくる人は神なのか・・・?いや神な訳が無い!!


「・・・・・人間界に行く神というのは・・・?」


「グハハハ!!それは我と・・・・」


「私、知識の神が行きます・・・名前はジュルとでも呼んで下さい・・・」


・・・・俺は眩暈を覚えた・・・・女性の方は言い・・・良識もあってこれからの旅を任せるのに何も心配ない・・・・だが・・・・


「・・・・・・・・・チェンジで・・・・・」


もう一人の神は絶対にダメだろう!!何だよ!!男がチアガールの恰好って!!ただの変態だろうが!!!


「ムウ!何が気に食わないのだ!!!」


「お前の格好だよ!!何だよその恰好!!!」


「???お主の世界の知識から作り出した服装だが?何か可笑しなところでもあったか?」


「それ!!女性が着るものだから!!というか!俺の世界の知識ってどうやって知ったんだよ!!というか知識知ってるんなら女性が着るものだっていうのもわかるだろうが!!!」


「異世界の神人は切れやすいなあ・・・そこに居る、半身の様に落ち着いたらどうだ・・・」


そう言ってリイムの方を見る、笑いの神・・・そこにはお菓子を頬張っているリイムの姿があった・・・・お前、シリアスな話をしている間もずっと食べていたな・・・・それでいいのか・・・・?


ちなみにリイムの事を半身と呼んでいたのは、もはやリイムと俺はほとんど一人と言っていい程、存在が同化している・・・恐らくそれでそう言って来たのだろう・・・・ってそんな事はどうでも良い!!


「創造神様!!さすがにこの人・・・神を送り出すのは、さすがにやめた方が良いのではないでしょうか?」


「ええ・・・我せっかく服まで準備して踊りまで練習したのに・・・」


そう言って、チアガールの踊りを披露する・・・笑いの神・・・無駄にうまい・・・これが女性なら絵にもなっていただろう・・・・だが、踊っているのは男だ!!筋肉ムキムキの・・・


「・・・世界の命運を託すのに、この神では心配なのですが・・・・」


「すまないが、他の神は神々の闘いで手が空いていない・・・・それにこやつほど、信頼できる神もおらんでな・・・」


その言葉に、俺は口を開ける・・・えっこの神が信頼できる神・・・?・・・・・・・・・・・・創造神が見る目ないのか・・・それとも、他の神がこれ以上酷いのか・・・・


「何を考えているか知らんが・・・恐らく違う・・・まあ、とにかく任せてみようでは無いか・・・」


「そうだぞ!ロイド!!人は見た目によらないからな!!!」


「お前が言うな!!!」


・・・・・・・・結局、そのまま送り出してしまった・・・この人選が最良だったことは後で解るのだが、その時は、


(この世界・・・終わった\(^o^)/)


と本気で思った・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る