ルザーの思い

あれから数年の月日が経った・・・あれから、ルジャは泣かなくなり、笑顔だけを見せる様になった・・・だが、知っている、彼女がどれだけ自分の身を削って神卸の巫女としての責務をこなしているのかを・・・また潰れる日が来ないかそんな心配をよそに、彼女は神卸の巫女としての役割をこなしていった・・・あの日までは・・・


魔物が現れ、ルジャがまた、塞ぎ込んだ時・・・俺は無力感をこれ程かと感じた・・・何故何も出来ないのか・・・どうして、手を差し伸べる事が出来ないのか!


しかも、ルジャが勇者に指名され魔界に行き、神卸をするという使命が神として与えられた・・・ふざけるな!!ルジャを何だと思っている!!だが、結局、ダールとジュル・・・笑いの神と知識の神がルジャを説得し旅に出る事になってしまった・・・・


だから、俺はこの魔界への進行・・・どんな事があっても、ルジャだけは守ろうと思った・・・自分の命を懸けようと絶対に・・・・!


・・・・魔界に行く道中、巨大な魔物に襲われ、ルジャが船に投げ出された時、俺は何も考えず、とにかく彼女の所に行った・・・例えそれが、悪手だったとしても、俺はまた同じことをやるだろう・・・・その結果、運よく彼女と一緒に魔界に来れた・・・・ルウェール達とははぐれてしまったが、あの、悪天候で船を投げ出されて、生きているだけでも運が良かった・・・生きていれば、会える可能性があるのだから・・・


その後、本当に魔族なのかと言う魔族達の集落に案内され、そこで暮らさせてもらった・・・ルウェール達の手掛かりも見つからなかったが、とにかく、拠点があるだけでも、助かる・・・そう思っていた・・・


それなのに、敵対する魔族達はここを襲って来た・・・しかも、目を覆わんばかりの人数で・・・・何とか生き延びていたが、それは相手が遊んでいるだけ・・・これだけの人数で、神の力も無しに闘えるはずが無い・・・


だが、ルジャは・・・あいつは諦めなかった・・・魔界での神卸・・・本来なら、ダールとジュルがいなければ、成功するはずが無かったそれを・・・あいつは成功させた・・・


そこからは無双だった・・・神は恐らく力を魔界に卸す事は出来なかったのだろう精神だけ降りてきたが、俺の身体をに入って神は、次々と魔族達を倒していった・・・本当に俺の身体なのか?そう思うほどの無双ぶりだった・・・魔族達は次第にいなくなり、最後の一人を倒した時、これで終わりだと、最初は思った・・・それが、思い上がりだと・・・すぐに気がつけされた・・・


空中に女の人が居た・・・いや人と表現していいのか美しい女性が居た・・・流れるような髪、美しい肌、神々しい雰囲気を持ったその女性は・・・表情だけは・・・・どこまでも歪んでいた・・・・


「久しぶりだねえ・・・ロイド!!」


ロイド恐らく、俺の所に宿っている神の事だろう・・・そう女性は言うと辺り一面を覆いつくさん程の光を発した何かを投げ込んでくる・・・本能的に死を直感した・・・このままでは死ぬと・・・


『神の力を!!』


俺に宿っている神が叫ぶ・・・気が付くと、ダールが近くにいる事に気が付く・・・良かった、生きていたんだな・・・


だが、そんな風に呑気に考えている暇は無かった・・・次の瞬間、意識が飛びそうな程の負荷がかかる・・・


何・・・だこれ・・・は・・・そして、次の瞬間目の前に迫っていた光は飛散していた・・・だが俺はそんな事を気に留める余裕もない・・・


『すまない・・・何とか耐えてくれ・・・』


その言葉に理解する・・・目の前にいる女性が敵であることを・・・さっきまで魔族と対峙していた時とは比べ物にならない程焦っている神を・・・恐らく、あいつが敵側の神なのだろう・・・


構わない・・・あいつを守れるなら、俺の命も惜しくはない・・・


そこからは、神話の世界の闘いだった・・・本当に俺の身体が出しているのか解らない程の威力の剣を数えきれない程放つ・・・だが、それも、防御するだけで、一度も決定打にならない・・・


あいつは何度も俺の事を気に掛けるが、そんな事を気にしている余裕も無いだろうに・・・


(お・・・れ・・・の・・こ・・・・と・・・は・・・きに・・・・するな!!)


今にも飛びそうな意識でそう伝える・・・だが、俺の精神もそうだが、根本的な身体が持たない様だ・・・感覚だけは解る為・・・今にも体が壊れそうな程の負荷がかかっているのが解る・・・だが、それでも止まる訳にはいかない・・・ルジャを・・・・ここに居る人達全てを守らなくては・・・・


だが、それも・・・限界に達する・・・目の前にいる女性がこちらに向かって迫ってくる・・・だがそれと同時に力が抜ける・・・そして、同時に理解する、神の力が無くなったのだと・・・


(な・・・ん・・・で・・・ここ・・・で)


俺は何とか剣を持とうとする・・・だが、限界を超えた身体はそれすらも出来ず・・・そして、神の力で空中に居た俺は重力に合わせて落下する・・・・


「終わりだ!!」


女性の声が・・・敵である神の声が聞こえる・・・・そして・・・


「お前がな!!」


同時に起こる爆発・・・・・


「・・・・本当によくやった・・・お前じゃなかったら、ここまで無茶何て出来なかったよ・・・」


その言葉を最後に聞いた後・・・・俺は意識を失った・・・

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