カニルとの決着・・・新たな敵

彼は努力家だった・・・そして、才能もあった・・・どうしたら、魔法が使え、どうすれば、強くなれるのかを理論的に知ることが出来た・・・もし解らなくても解るまで知ろうと努力をした・・・・それは、神人になった今も変わらない・・・


「・・・お主がここまでその結界を使えるとは・・・・」


創造神がそう言う、本来、創造神自身が、神卸を行う際、強引に干渉し張る予定だった結界の張り方を理解し・・・彼は改良を施した上で、その結界を一人で作り出していた・・・・


今回の計画で使う予定の結界は、本来、神が干渉できない為、強引に張る結界その為、どうしても弱くなってしまう・・・それでも、向こうの神自体自身が干渉出来ない制約の為、それでも十分なはずだ、だから、結界の弱体化に目を瞑り、創造神自身の結界を張り・・・そして、その間に・・・あやつを・・・


だが、その結界の弱体化ももはや心配しなくてもいいかもしれない・・・


「お主に任せもて良いか・・・」


創造神の問いにロイドは頷いた・・・そして・・・


―――――――――――――――――――――――――――――


「・・・どうやってかは知らないが、本当に神の姿で、魔界に来るとはねえ・・・」


私はそう呟く、本来なら、神の力を持った者が、この世界に干渉する事は出来ない、それは、人から神になった神人も含まれる・・・まあ、こいつは人と魔族のハーフだろうが、そんな事は関係ない・・・神の力を持っている限り、干渉など出来ない・・・そう考えていたのだが・・・


先程の光、神の力の放流・・・そして、ロイドの意識だけを降ろした・・・巫女とさっきまでいた、人間の能力まで落とした神達・・・なるほど、神を贄にこの世界に自らの身体を具現化出来るまで制限を無くしたか・・・だが、そんなことをしても無駄だ・・・魔界と世界が繋がっている限り・・・絶対神様の策は・・・


そこまで考えて気づく・・・先程まで、繋がっていた、魔界と敵対している神の世界との通路が閉じている事に・・・・


(何だ・・・さっきの神卸で何かしたのか?だが、無駄だ!!例え、何をしようがここに居るのは私、神自身だ!世界の理に介入すること等造作もない!!)


これが魔王なら結界を張るだけで世界と、魔界を分断するだけで、神の干渉が出来ない為、何も出来なかっただろう・・・だが、同じ神である私が居るのだ・・・こんな神卸の際に一瞬で張った結界等・・・一瞬で壊して・・・・・・何故だ・・・・・何故壊れん!!


「どうした?何かあったか?」


目の前にいる出来損ないの神人がそう言う・・・まさか、お前が・・・・


「・・・・何をした・・・?」


「何をって・・・結界を張っただけだが・・・俺が・・・」


「・・・・何だと?お前がか・・・・」


そんな事は有り得ない・・・こいつが、神になってどれだけの月日が経った?神の世界が時間の流れから切り離されているとはいえ・・・こんな短期間でこんな結界を作り出せる訳が・・・あり得ない・・・はずだ・・


「有り得ん!!お主が私の力を超える結界を作り出すなど・・・神人等と言う、まがい物の神等に作り出せるはずが無い!!」


「・・・まあ、いいけど・・・」


「ロイド、ルザーは地上に送った・・・いつでも始めていいよ・・・とっとと倒そう」


何だあ・・・世界と契約せずに人と魔族とのハーフと本契約した妖精ぶぜいが私を倒すって・・・?


「舐める・・・」


「よっと・・・」


一瞬何が起きたか解らなかった・・・気づいたら、周りの景色が一瞬で過ぎ去り、気づいたら、遠くの別の場所に移動していた・・・・何故だ・・・何故・・・身体全身が痛い・・・


「ガッハ・・・」


「とっとと終わらせるぞ・・・」


気が抜けた声が上から聞こえる・・・何が・・・・起きて・・・・


次々に痛みを感じる・・・何だ・・・本当に何が起きている・・・神である私が知覚出来ない速度で神である私がダメージを受ける程の衝撃を全身に受ける・・・


まさか・・・あいつが攻撃しているのか・・・?あり得ない・・・神の出来損ないの癖に・・!!


先程から実力差を示されているのに・・・それを認めようとしないカニル・・・それは、地上で生まれた神等取るに足らない存在だと決めつけている・・・今までの神々の傲慢たる故だった・・・


右を向けば、左から衝撃、左を向けば右から衝撃・・・下を向けば上から・・・下を向けば上から・・・


上下左右あらゆるところから攻撃・・・攻撃の衝撃であっちこっちに飛び・・・様々・・・移り変わる景色・・・・カニルはもう既に瀕しな状態であった・・・


あり得ない・・あり得ない・・あり得ない・・・・アリエナイ・・アリ・・・エ・・・


彼女は理解出来なかった・・・何故ウジ虫にここまでやられているのか・・・何故生まれついての神である私が奴隷なぞにここまで痛みつけられているのか・・・・解らない・・・解らない・・・ワカラ・・・・


『もういいのです・・・』


ふと絶対神様の声が聞こえた・・・そうか・・・これは夢なのだ・・・・


『・・・ええそうです・・・だから・・・ゆっくり休んでください・・・』


そう言われ、私はゆっくり力を抜いた・・・そして・・・


『永遠に・・・』


その言葉と共に全身に痛みと苦しみが走った・・・・


――――――――――――――――――――――――――


先程、ロイドが神をぶっ飛ばしたのを見て、やはり・・・どうやっても、先程の神は脅威に感じないと思った・・・そうリイムは思った・・・それはロイドも一緒だろう・・・だから、私と同化せずそのまま闘っている・・・それもそうだ・・・今まで創造神との訓練をし、その創造神すら敵わないと自ら言うほど、彼は・・・ロイドは強くなったのだから・・・・


本当にロイドには驚かせられる・・・・私ですら、そこまで強くなるとは思わなかったのだから・・・


だと言うのに、何故・・・不安な気持ちが消えない・・・何故・・・こんなにも心配なのだ・・・何故・・・・


結界も上手く動作している・・・この結界は、ロイドが魔界に降臨している限り、神々の干渉を完全に遮断できる物だ・・・すでに降臨している、敵の神はどうしようもないが、あの程度の神なら今のロイドの敵では無い・・・それなのに・・・この不安な感情・・・・


そんな私の気持ちを押し込みながら、ロイドの元に転移魔法で一瞬に移動する・・・そこには、敵側の神を圧倒している姿があった・・・


そうだ・・・何を心配する事があろうか・・・同化するまでも無く、ロイドが勝っているのではないか・・・心配なんて・・・・


だが、次の瞬間・・・敵側の神が苦しみだす・・・・


「・・・?何だ・・・?」


その余りの変わりように一瞬ロイドの手が止まる・・・


「駄目!!ロイド!!攻撃を続け・・・」


次の瞬間・・・神の周りが光り出し・・・・そして・・・・・・・・これは・・・・・・


「フフフ・・・一瞬、やられたと思いましたが、カニルの好きにさせて正解でしたね・・・おかげで、魔界との繋がりが完全に消える事が無くなったのですから・・・」


・・・この圧倒的な力・・・天智の書を使わなくても解る・・・こいつは・・・


「絶対神・・・・」


地獄が始まろうとしていた・・・・

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